研究概要 |
本年度の研究では、以下の3点を中心に進めた。 (i)TiNへのAl注入による対酸化・自己保護性の付与とその挙動 ・Al注入TiNコーティングに、金属Al相,(Ti, Al)N, AlN相が生成されることを明らかにした。特に注入条件により、TiNをテンプレートとするC-AlN相が生成することを示した。 ・Al注入により酸化開始温度が200K上昇し、α-Al_2O_3緻密表面保護膜がインプロセスで生成することが自己保護性を発現させることを見出した。 (ii)TiNへのCl注入による対磨耗・自己潤滑性の付与とその挙動 ・Cl注入TiNコーティングでは、新しい相は生成されず、注入Clはイオン注入に伴って生じる転位にトラップされていると考えられる(詳細なTEM観察)。 ・Cl注入量の増加に伴う摩擦係数、磨耗体質は数オーダー減少する。これはせん断変形できるTiO_<2-X>相がWear Track表面に生成されることを初めて見出した。 (iii)イオンビームスパッター装置による薄膜創成 ・イオン注入の1つの応用展開として、Arイオンビーム照射による金属プルーム制御を通じて、種々の単体/化合物/合金膜を創生できることを見出した。
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