研究課題/領域番号 |
12305047
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
材料加工・処理
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
相澤 龍彦 東京大学, 国際・産学共同研究センター, 教授 (10134660)
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研究分担者 |
三尾 淳 東京都産業技術研究所, 主任研究員
諏訪 嘉宏 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任助手 (90339705)
村石 信二 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任助手 (70345156)
桑原 秀行 財団法人応用科学研究所, 主任研究員 (90132795)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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キーワード | 自己潤滑機構 / 軽元素イオン注入 / TiN硬質セラミック膜 / 酸化促進 / 中間酸化物 / 表面酸化反応制御 / ドライ加工 |
研究概要 |
イオン注入は、種々の元素をほとんどすべての物質に注入することができる、有用な表面改質法である。特に軽元素イオン注入では、種々の表面ナノ構造化を生じさせることができる。本論では、3種類のナノ構造化を取り上げ、イオン注入によるナノ構造化プロセスを理解するとともに、ナノ構造化した材料の使用中に生じるナノ・ヘテロ構造化を考察する。イオン・プレーティングで作成したTiN膜を共通基板として利用する。第1は、炭素注入による化学結合状態の改質である。このナノ構造化では、表面近傍の特定の領域に新規の化学結合を創出することができ、それゆえに耐摩耗特性を向上させることができる。第2のナノ構造化は、注入原子とTiN構成元素との非平衡相生成、TiN内の注入原子クラスター形成である。注入したアルミ原子はTiNと緩い結合を形成し、それゆえTiNとAlNとの正方構造を有する固溶体を生成する。また一部の注入Al原子は金属相としてTiN構造内に存在する。この表面ナノ構造化材料の耐酸化試験を行うと、結合していたアルミ原子は分解、表面拡散し、外部から侵入する酸素原子と反応して緻密で強固なα-アルミナ層を形成する。これが自己保護バリアとして機能するためTiNの耐酸化性は著しく向上する。第3の表面ナノ構造化は、注入原子の高い移動度と反応性で特色づけられる。注入した塩素イオンは、TiNとはほとんど反応せず、TiNの格子定数さえほとんど変化させずに、注入時に新たに導入される転位にトラップされている。摩耗試験中に、この注入塩素は、表面摩耗反応を大きく変化させ、TiO_2あるいは摩耗試験相手材の酸化物ではなく、塑性変形する中間酸化物・Magneli相をその場創成させることで、低摩耗・低摩擦を実現させる。以上にように、表面ナノ構造化は、材料使用時のナノヘテロ化も含め、新しい環境材料設計の指針となることが実証される。
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