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2000 年度 実績報告書

機能性核酸を用いた生体における遺伝子機能解析プロセスの開発

研究課題

研究課題/領域番号 12305052
研究機関東京大学

研究代表者

多比良 和誠  東京大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10261778)

研究分担者 川崎 広明  東京大学, 大学院・工学研究科, 教務職員
倉田 博之  九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (90251371)
キーワードリボザイム / ジーンディスカバリー / RNA工学 / 遺伝子破壊 / RNAヘリケース
研究概要

スライディング可能な機能性核酸システムの開発。
リボザイムによるmRNAの切断は、しばしばmRNA自身内で生じる相補的な塩基対同士が結合した堅固なステム構造によって阻害される。従って、このようなステム構造の部分をターゲットとした場合には、リボザイムはステム構造の中に入っていくことが難しく、十分にターゲットを切断することができない。この問題を克服するために、RNAヘリケースをリクルートするリボザイムの開発を試みた。RNAヘリケースはRNA上をスライディングし、堅固なステム構造を解きほぐすことができる。これによって、リボザイムが堅固なステム構造内の切断配列に容易にアクセスすることが可能となり、十分な切断活性を持つことが期待される。今回、RNAヘリカーゼ結合モチーフとしてウイルスの由来のRNAヘリケース結合配列(RBM配列)を用い、この配列をリボザイムの3'側に結合した発現系を構築し、その切断活性の検討を行った。標的配列としては、リボザイムの評価系としてこれまで当研究室において確立されているLTR-ルシフェラーゼ遺伝子(LTR配列を5'側に結合したルシフェラーゼ遺伝子)を用いた。まず、LTR-ルシフェラーゼ遺伝子を切断する5種類のリボザイムを設計し、従来のtRNA発現系を用いて、細胞培養系における切断活性を調べたところ、比較的RNAの2次構造が緩んでいる部分を標的配列に持つ3つのリボザイム(Rz1、Rz2、Rz3)は約60%から70%のルシフェラーゼ抑制活性が見られた。一方、RNAが強固なステム構造を形成する部分を標的としたリボザイム(Rz4,Rz5)はほとんど標的配列を切断することができなかった。このリボザイムに前述のRBM配列を付加し、その効果を調べたところ、驚くべきことに、ほとんど活性を示さなかったRz4,Rz5の発現抑制活性が約70%〜80%のレベルにまで上昇していた。また、ある程度の効果が見られたRz1、Rz2、Rz3においても10%〜20%抑制の増加がみられた。以上の結果から、ヘリケースをリクルートする配列をリボザイムに付加することにより、RNAの2次構造に依存することなくRNAを切断することが可能であることが示唆された。同様の結果は、プロキャスペース3(CPP32)遺伝子を標的とする場合にも得られており、どのような標的mRNAに対しても、同様の効果が得られると考えられる。また、実際にRBM配列を持つtRNA連結型リボザイムが実際にRNAヘリケースをリクルートしていることも、RBM配列に結合することがいわれている2つのRNAヘリケース(hDbP5およびRNAヘリケースA)の抗体を用いた免疫沈降の実験により確かめられている。今回、開発した(RBM配列付加型リボザイム)により特定の遺伝子のノックダウンがこれまでに比べて極めて容易に、しかもより高いレベルで可能になることが期待される。また、現在、当研究室で開発しているリボザイムを使った遺伝子探索システム(ジーンディスカバリー)と組み合わせることも検討している。

  • 研究成果

    (7件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (7件)

  • [文献書誌] Kawasaki,H et al.: "Parameters governing in vivo activities of hammerhead ribozymes : construction of intracellularly active ribozyme expression systems"In "Ribozyme : Biochemistry and Biotechnology,Krupp,G.and Gaur,R.K.(Eds.),Eaton Publishing,Natick,MA,U.S.A.. 457-482 (2000)

  • [文献書誌] Warashina,M. et al.: "Novel RNA-protein hybrid ribozymes efficiently cleave any mRNA independently of the structure of the target RNA."Proc.Natl.Acad.Sci.USA. (in press). (2001)

  • [文献書誌] Kurata, et al.: "MAXIZYMEs : Alosterically controllable ribozymes with biosensor functions."J.Biochem.Mol.Biol.. 33. 359-365 (2000)

  • [文献書誌] Miyagishi,M. et al.: "Transport of intracellularly active ribozymes to the cytoplasm."Cancer Chemoth.Pharm.. (in press). (2000)

  • [文献書誌] Tanabe,T. et al.: "Maxizymes, novel allosterically controllable ribozymes, can be designed to cleave various substrates."Biomacromol. 1. 108-117 (2001)

  • [文献書誌] Kawasaki,T. et al.: "Design of hammerhead ribozymes and allosterically controllable maxizymes for a cancer gene therapy"In "Tumor Suppressing Viruses, Genes, and Drugs : Innovative Cancer Therapy Approaches",Murata H.(Ed.),Academic Press. (in press). (2001)

  • [文献書誌] 宮岸真 ら: "遺伝子治療を目指した高機能リボザイムの開発"医薬ジャーナル. (2001)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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