研究概要 |
スライディング可能な機能性核酸システムの開発 本年度リボザイムにヘリケース結合配列(CTE配列,poly(A)配列)を導入することにより,mRNAの2次構造をほどきながら切断する,スライディングリボザイムの開発を行った。これらのリボザイムを用いることにより,特定遺伝子のノックダウンが,これまでに比べて極めて容易に,しかもより高いレベルで可能になり,この方法論の有効性が実証された。さらに,このヘリカーゼ誘導型リボザイムを用いた,アポトーシス関連のジーン・ディスカバリーによって,実際にアポトーシス経路に関わる新規な遺伝子の同定と機能解析を行なう系を構築した。 アロステリックに機能するマキシザイムの開発 本年度は,特に慢性骨髄性白血病(chronic myelogenous leukemia ; CML)を引き起こす異常キメラ遺伝子BCR-ABLを標的とした,細胞質に局在するアロステリックマキシザイムを設計し,その効果を培養細胞,さらにはマウスで詳細に解析した。また,マキシザイムを一本鎖RNAとして発現させることで,CMLに対して,より治療効果のあるマキシザイムの発現系を構築し,マキシザイムが遺伝子治療に非常に有望であることを示した。これらの知見を踏まえたマキシザイムのトランス化の試みは進行中であり,現在成果を上げつつある。
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