研究分担者 |
杉町 圭蔵 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (00038762)
中澤 浩二 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (00304733)
井嶋 博之 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (10274515)
田中 真二 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (30253420)
島田 光生 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (10216070)
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研究概要 |
急性肝不全治療用人工肝臓の前臨床試験と慢性肝不全治療用人工肝臓開発の基礎研究に分けて本年度成果概要をまとめる。 1.急性肝不全治療用人工肝臓の前臨床試験 1)肝不全ブタモデルを用いたハイブリッド型人工肝臓の前臨床試験 すでに開発済みの臨床用プロトタイプのポリウレタン発泡体(PUF)/肝細胞球状組織体(スフェロイド)型人工肝臓(肝細胞200g充填)を体重25kgの温虚血肝不全ブタおよび無肝ブタに適用し,本人工肝臓が肝不全状態における肝機能の補助ばかりでなく全身状態の改善や延命にも効果を与えることを示した。現在、肝再生ブタモデルの作製を試みており、本人工肝臓が肝再生に与える効果の検討を進める予定である。 2)ヒトーブタ間の免疫反応抑制法の検討 補体活性抑制効果が知られるフサンを用いることにより,ブタ肝細胞がヒト正常血漿中で少なくとも2日間以上機能維持できることを見出した。現在,膜を用いた補体および抗体の隔離効果についても検討を進めている。 2.慢性肝不全治療用人工肝臓開発の基礎研究 1)肝細胞オルガノイドの長期培養法の確立 すでに確立している遠心力誘導肝細胞組織体(オルガノイド)の最適環境の検討として,アミノ酸やビタミン,ホルモン等の添加を増強した培養培地を用いた結果,肝細胞オルガノイドがアンモニア除去やアルブミン分泌等を5ヶ月以上維持できることを見出した。 2)血管網類似構造を有する新規人工肝臓モジュールの開発と培養実験 新規人工肝臓モジュールとして、生体血管に見立てた中空糸を規則的に配置した血管網類似構造を再現し,その中空糸外部で肝細胞オルガノイドを培養するモジュールを開発した。今回開発したものはラット用スケールのモジュール(肝細胞0.7g充填)ではあるが,上記1で開発しているPUF/肝細胞スフェロイド型人工肝臓の約4倍の高密度を達成しつつ良好な機能発現を少なくとも1ヶ月以上維持できることを示し,コンパクトかつ長期的に利用できる人工肝臓として有望であることを示した。
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