研究課題/領域番号 |
12305054
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高木 誠 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (90037739)
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研究分担者 |
中村 成夫 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (00264078)
竹中 繁織 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (60188208)
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キーワード | 光電流 / 遺伝子検出 / DNAチップ / インターカレータ / ルテニウム錯体 |
研究概要 |
本研究では、光電変換という全く新しい手法によるDNA検出の基礎技術の確立を目指すとともに、さらなる高感度化をはかる。DNAの検出は原理的には、ターゲットDNAとそれに相補的なDNAプローブによる本鎖の特異的形成を利用する。 初年度は光電変換インターカレータとしてRu^<II>(bpy)_2dppzを合成して用いたが、より二本鎖選択性を高めるために、ルテニウム錯体を分子内に含む縫い込み型インターカレータを設計し、合成した。このような化合物はDNAインターカレート部位の両側にかさ高い置換基を有するため、いったん二本鎖DNAに結合すると解離速度が著しく遅くなる。ナフタレンジイミドを基本骨格とし、2つのイミドN原子からエチレングリコール鎖を含むリンカーを介して、アミド結合によりRu^<II>(bpy)_3型のルテニウム錯体をつないだ。この化合物がDNA二本鎖にインターカレートすることは、紫外可視スペクトル、粘度滴定などにより確認した。 この化合物に可視光(1000mW/cm^2,290〜450nm)を照射すると光電流が観測されたが、測定を重ねるにつれて、光電流値が減少していった。光照射後の吸収スペクトルを測定することにより、この化合物のナフタレンジイミド骨格が分解していることが分かった。ナフタレンジイミドの極大吸収波長である380nm以下の光をカットするフィルターを用いたところ、この分解は顕著に抑制された。しかし同時にDNAの一本鎖と二本鎖の識別能も低下した。分解のメカニズムはまだ明らかになっていないが、ナフタレンジイミドの励起がDNA二本鎖における光電流の増加に何らかの影響を与えているものと思われる。
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