研究課題/領域番号 |
12305056
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
出来 成人 神戸大学, 工学部, 教授 (10101065)
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研究分担者 |
水畑 穣 神戸大学, 工学部, 助手 (10283871)
梶並 昭彦 神戸大学, 工学部, 助手 (10169443)
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キーワード | シリカ / チタニア / 金微粒子 / 液相析出法 / 金属フッ化物錯体 / 傾斜組成薄膜 / FGM / オキシ水酸化鉄 |
研究概要 |
本研究の主題となる薄膜構造に対する反応条件(温度・溶液濃度・物質添加)の依存性について本年は、複合酸化物系を主として取り扱い、SiO_2/TiO_2積層薄膜中への金属超微粒子の複合、およびFe/Ti系傾斜組成薄膜に関する構造およびその微小領域の構造について検討を行った。液相析出法により(SiO_2/TiO_2)積層薄膜中のAu微粒子の分散過程を解明した。始めに従来作製法が確立しているTiO_2薄膜の合成を行い、得られたTiO_2薄膜を空気中で加熱処理を行った。熱処理後のTiO_2薄膜を基板とし、Au-SiO_2薄膜を積層させた。得られた薄膜(Au-SiO_2/TiO_2)を空気中、加熱処理を行い熱処理前後の薄膜について、断面TEM観察により観察した。熱処理によりAu微粒子は結晶性のよいアナターゼ型のTiO_2薄膜層へ転移することが観察されたため、析出条件を逆にして(TiO_2/Au-SiO_2)薄膜を析出させた。熱処理前後の薄膜について同じように観察を行った。熱処理後の薄膜では(Au-SiO_2/TiO_2)薄膜系のようにAu微粒子は結晶性のよいアナターゼ型のTiO_2薄膜層へ転移すること確認された。薄膜中のAu微粒子とTiO_2媒体間の相互作用が強く影響していると考えられる。以上の結果から、Au微粒子はSiO_2から結晶性のよいアナターゼ型のTiO_2薄膜層へ移動することが明らかとなった。 また、Ti/Fe酸化物系傾斜組成薄膜に関する合成を行った。FeOOH薄膜析出反応溶液へ滴下するTiO_2薄膜析出反応液の流速を変化させて薄膜の析出を試みた。流速の変化は処理溶液中のTiとFeの濃度変化時間に直接依存するため、析出反応場における反応溶液の組成と析出組成との相関を考慮すれば薄膜内の組成制御を行うことが可能であることが明らかとなった。従って、流速を変化させることで濃度変化を制御し、組成が膜厚に沿って均一に変化する傾斜薄膜の合成が可能であることが明らかとなった。
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