研究課題/領域番号 |
12305058
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大嶌 幸一郎 京都大学, 工学研究科, 教授 (00111922)
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研究分担者 |
忍久保 洋 京都大学, 工学研究科, 助手 (50281100)
松原 誠二郎 京都大学, 工学研究科, 助教授 (90190496)
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キーワード | ラジカル反応 / 水 / パラジウム触媒 / 理論計算 / 環化 / アルケン / ab initio法 / クロスカップリング |
研究概要 |
1.パラジウム触媒を用いるヨウ化ペルフルオロアルキルのオレフィンへのラジカル付加反応において、水を溶媒として用いると収率よく反応が進行することを見いだした。ベンゼンなどの有機溶媒を用いた場合には加熱することが効率良く反応を行うためには必須であるが、水中では室温で反応が進行することが明かとなった。さらにアルキン類への付加反応では生成したヨウ化アルケニルをそのまま単離することなく、クロスカップリング反応によりエンインへと収率よく変換できることを明らかにした。この方法により、パラジウム触媒をもちいてフッ素化されたエンインを収率よくかつ短工程で合成することに成功した。 2.ラジカル反応では、水素化トリブチルスズやアリルトリブチルスズなどの有機スズ化合物が広く用いられてきた。しかし、スズ化合物には強い毒性や後処理の困難さといった問題がありスズ化合物に代わる反応剤の開発が強く求められている。そこで、スズ化合物に代わりうる優れた反応剤を開発することを目的にこれまで余り注目されていなかった有機ガリウム化合物に焦点を当て、ラジカル反応について検討を行った。塩化ガリウムにアリルグリニャール反応剤やホモアリルグリニャール反応剤を加えて有機ガリウム反応剤を調製する。ここに、ヨード酢酸ベンジルとラジカル開始剤としてトリエチルボランを加え撹拌すると、対応する付加体が収率良く得られることを見出した。トリエチルボランを添加せずに反応を行った場合やラジカル捕捉剤を系中に加えた場合には対応する付加体が得られなかったことから、本反応はラジカル機構で進行していると考えられる。
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