生命科学への展開を目指した新世代人工複合糖質高分子の設計

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12305059
• 研究機関: 名古屋大学
• 研究代表者: 小林 一清 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (10023483)
• 研究分担者: 松浦 和則 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (60283389) ; 西田 芳弘 名古屋大学, 工学研究科, 助教授 (80183896)
• キーワード: 炭水化物 / 生体機能材料 / 高分子物質 / 分子認識 / DNA / フラーレン

研究概要

(1)糖鎖を導入したオリゴDNAを固相合成機械を駆使して合成した。明確な構造の糖鎖結合オリゴDNAを用いて、コンホメーション、融解挙動、ヌクレアーゼ耐性などの特性解析を行った。糖鎖によるレクチンの認識を蛍光スペクトル法により解析するとともに、半分ずらした相補DNAとのハイブリダイゼーションを利用すると認識機能がかなり高進することを明らかにした。
(2)人工複合糖質高分子による糖鎖間相互作用の解析。糖鎖がクラスター状に高密度に配列している人工複合糖質高分子を用いると、糖鎖間相互作用が大幅に増幅して現れてくる。表面積-表面圧等温線および表面プラズモン共鳴(SPR)を用いて、より定量的な解析を進めた。糖脂質の糖鎖構造がほんのわずか変えるだけで、相互作用が大幅に変動することを明らかにし、Gg3三糖とGM3三糖との間の糖鎖間相互作用について考察した。
(3)複雑な枝分かれ糖鎖を単純な糖鎖モジュールにいったん分解してから、共重合により再構築した。シアリルルイスx型4糖を、フコースと3-硫酸化ガラクトースの結合体および6-硫酸化GalNAcに分割し、それぞれのアノマー部分をアクリルアミド誘導体化してから共重合を行って、E-,L-,およびP-セレクチンとの結合機能を明らかにした。

研究成果

• [文献書誌] K.Matsuura,K.Kobayashi: "Construction of Glyco-clusters by Self-organization of Srte-Specifically Glycosylated Oligonucleotides..."J.Am.Chem.Soc.. 123・2. 357-358 (2001)
• [文献書誌] Y.Nishida,K.Kobayashi: "A Facile Synthetic Approach to L-and P-Selectin Blockers Via Copolymerization of Vinyl...."Biomacromolecules. 1・1. 68-74 (2000)
• [文献書誌] T.Hasegawa,K.Kobayashi: "Multilayer Adsorption and Molecular Organization of Rigid Cylindrical Glycoconjugate Poly...."Macromolecules. 33・7. 2772-2775 (2000)
• [文献書誌] H.Tanaka,K.Kobayashi: "A Facile Synthesis of Glycoconjugate Cationic Polymer Carrying 3, 6-Branched a-D-Mannosyl..."J.Carbohydr.Chem.. 19・3. 413-418 (2000)
• [文献書誌] K,Matsuura,K.Kobayashi: "A Quantitive Estimation of Carbohydrate-Carbohydrate Interaction Using Clustered..."J.Am.Chem.Soc. 122. 7406-7407 (2000)
• [文献書誌] A.Tsuchida,K.Kobayashi: "A Quartz-Crystal Microbalance Study of Adsorption Behaviors of Artificial Glycoconjugate..."Macromol.Chem.Phys.. 201・17. 2245-2250 (2000)
• [文献書誌] 小林一清,松浦和則: "次世代糖鎖高分子の合成と機能"アイピーシー. 22 (2000)