研究概要 |
ブロックコポリマーが形成するミクロ相分離構造の一方のミクロドメイン相をオゾン分解法により選択的に除去して得たメゾスコピックスケールの孔径を持つ多孔体を用い、そのメゾスコピックスケール空間に機能を付与することにより高機能材料を開発することを目的として研究を行った。その結果以下に示すような結果を得ることができた。 1)メゾスコピック空間の金属微粒子による機能化 ポリ2ビニルピリジン多孔体をパラジウムアセチルアセテート(Pd(acac)_2)を含む1-プロパノール/トルエン混合溶液に浸漬し、高温で乾留することにより直径6-10ナノメートル程度のPd金属超微粒子をポリ2ビニルピリジン多孔体中に分散させることに成功した。金属超微粒子を導入する際の温度や反応時間などの条件が金属超微粒子の平均粒子径やその分布および密度に与える影響を調査し、金属超微粒子形成の機構を明らかにした。 2)メゾスコピック空間の電荷移動錯体による機能化 ポリスチレン-ポリイソプレンジブロックコポリマー(PS-b-PI)の特定のミクロドメイン中への低分子電荷移動錯体の導入を試みた。ブロックコポリマーをテトラチアフルヴァレン(TTF)とともに溶かした溶液から薄膜をキャストし、その薄膜に一方の成分に選択的な溶媒蒸気の存在下ヨウ素をドープさせると、そのミクロドメイン相に選択的に電荷移動錯体の結晶が生成する可能性を見いだした。また、PS-b-PIが形成するラメラ状のミクロドメイン相の一方に選択的にTTF/TCNQ(7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン)電荷移動錯体を0-ジクロロベンゼン溶液からのキャスト法により導入することを試みたところ、TTF/TCNQ電荷移動錯体はポリイソプレンミクロドメイン相に選択的に導入することができた。
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