研究課題/領域番号 |
12305066
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 徹 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (30282677)
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研究分担者 |
鈴木 英之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (00196859)
山口 一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20166622)
宮田 秀明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (70111474)
馬場 信弘 大阪府立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10198947)
経塚 雄策 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 教授 (80177948)
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キーワード | 回転水槽 / コリオリカ / 密度流 / 二層成層 / 数値流体解析 / 海洋流動モデル / 有明海 / 諫早湾潮受堤防 |
研究概要 |
近年ノリ不作で社会問題となった諌早湾潮受け堤防が有明海の海流に及ぼす影響について実験により調査した。回転水槽に有明海の地形模型を設置し、フロート型潮汐発生装置にて潮汐を発生させて、水面にまいたトレーサー粒子をPIV処理することで速度場を計測した。速度場の計測の結果、堤防の設置は諌早湾内での残差流を極端に低速化させていることがわかった。このことはわずかな気象条件の変化で強い密度成層を湾内に形成し、それがひいては赤潮の原因になる可能性があることを示唆するものである。また諌早湾出入口での流れの変化のため、有明海北側西岸(佐賀県)のノリ養殖現場に筑後川から供給される栄養塩が行かなくなる可能性を示した。 次に有明海のノリ不作問題について工学的かつ局所的な解決策として、五ヶ所湾で成功を収めた密度流拡散装置の応用を提案し、上記と同じ模型実験にて、染料による密度流を輝度法により解析した。この実験の目的は、この装置を設置するのに適した位置の推測である。下層から汲み上げた栄養塩が有明海西岸のノリ養殖サイトへ、ある程度の濃度を持ったまま拡散するような設置位置を見つけることが出来た。 さらに初年度に開発した数値シミュレーションコードを用い、この密度流拡散装置の物理的効果を数値計算によってもシミュレートした。染料の拡散の計算結果は回転水槽を用いた実験結果と良い一致となり、発見した適切な位置に設置した密度流拡散装置は、下層から汲み上げた栄養塩をノリ養殖サイトへ、ある程度の濃度を持ったまま輸送していることが数値計算からも確認された。数値計算から求めた濃度は、ノリ養殖に必要な栄養塩濃度の約9%程度と予測された。この数字は添加栄養塩として十分な濃度であると考えられる。
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