研究課題/領域番号 |
12306003
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
松本 正吾 理化学研究所, 分子昆虫学研究室, 主任研究員 (60134516)
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研究分担者 |
永峰 俊弘 理化学研究所, 分子昆虫学研究室, 先任研究員 (90237553)
岡野 和広 理化学研究所, 分子昆虫学研究室, 基礎科学特別研究員 (70322691)
姜 媛瓊 理化学研究所, 分子昆虫学研究室, 主任研究員 (30291917)
三田 和英 放射線医学総合研究所, 第2グループ, 室長(研究職) (30159165)
本 賢一 理化学研究所, 分子昆虫学研究室, 基礎科学特別研究員 (90333335)
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キーワード | カイコ / ESTデータベース / 平均化ライブラリー / バキュロウイルス / 遺伝子導入 / フェロモン |
研究概要 |
昨年度に引き続き1)カイコのEST databaseの拡充と利用、2)バキュロウイルスによる遺伝子導入系の構築を進め、これらの手法をフェロモン産生系などをモデルとして実践することを試みた。 EST databaseに関しては、既に約3万のESTを8000種の独立クラスターに分類しているが、更なる拡充を図った。まず、純系系統p50由来のメスフェロモン腺、オスアンテナ、5齢幼虫神経節のcDNAライブラリーを作成した後、それらをコピー数の少ない遺伝子を選択的に残した平均化ライブラリーとした。各ライブラリーはランダムに1000-2000クローンをシークエンスし、合計7000のESTを得た。フェロモン腺由来ESTからは、既知acyl-CoA desaturaseとは異なる新規acyl-CoA desaturaseが数種類単離された。またフェロモン腺への脂質輸送に関連すると考えられるLow density lipoprotein receptor(LDLR)と有意なホモロジーがある遺伝子が単離され、この遺伝子の発現は成虫では、フェロモン腺特異的、幼虫では翅原基特異的な遺伝子発現パターンを示した。さらに輸送された脂質分解に関与すると考えられるリパーゼも数種類見つかった。これら遺伝子は、カイコ性フェロモン生合成カスケードに関与するタンパク質群であると推察され、現在、タンパク質の槻能解析を進めている。またアンテナからは、数種類のフェロモン結合タンパク質、感覚器特異的タンパク質群の存在が示され、多様な情報伝達系の存在が示唆された。 一方、遺伝子導入系に関しては、カイコ脳で特異的に発現する神経ペプチド(ボンビキシン)のプロモーターにGFP遺伝子をレポーターとしたBmNPV組換え体ウイルスを作製し、カイコ幼虫個体に接種したところ、脳間部の4対のボンビキシン産生細胞でのみGFPの特異的発現が認められ、本実験系がカイコにおける組織特異的な遺伝子発現機構の解析に適用しうる系であることが示唆された。
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