研究課題/領域番号 |
12306005
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
正木 春彦 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (50134515)
|
研究分担者 |
日高 真誠 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (50183918)
|
キーワード | 大腸菌 / コリシン / バクテリオファージ / リボヌクレアーゼ / O157 / 酸塩基触媒 / tRNA / RNA制限酵素 |
研究概要 |
1.新規のコリシンとファージの検索:国立感染研のコレクションより約2300株のO157株を選び、そのコリシンあるいはファージの生産性とそれらに対する感受性を調べた。全体の約24%の株が何らかのコリシンかファージを生産していた。このうち65%がコリシンDを、9%がコリシンIを、4%がE群コリシンを生産しており、現在のところ未同定のものが22%ある。当初期待したような、K12株を殺さずO157株を殺すようなコリシンは見つかっていない。またtRNAを標的とするコリシンE5とコリシンDのバリエーションを求めたが、コリシンE5の5株すべてと、コリシンDの任意の5株について活性ドメインとインヒビターに相当するプラスミド遺伝子領域をsequencingしたが、いずれも既知のものと同一構造を示した。またE群コリシンの中で、進化上の中間体と思われるようなプラスミドを2個、全配列を決定した。さらに、O157の70%に感染できるが、K12には感染できない新規のファージをO157株の中から見出し、現在構造を決定中である。べ口毒素遺伝子はコードしていない。 2.コリシンE5の酵素触媒機構:結晶構造解析データより、RNaseとしての触媒基として2個のLysと1個のArgが疑われた。様々な変異体の活性測定より、2個のLysが一般酸塩基触媒となっており、Argが反応中間体を鑑定化させているという、今までのヌクレアーゼにはない反応機構モデルを提出した。 3.コリシンDのRNaseドメインの特定:697アミノ酸残基からなるコリシンDの様々の長さのC末端側を、RNaseドメインを除いたコリシンE5と融合させ、キメラ体の殺菌活性を調べた。殺菌活性にはC末端の104アミノ酸ドメインでほぼ十分であることが判明した。またC末端160アミノ酸ドメインを精製し、これがtRNase活性を持っていることを確認した。
|