研究概要 |
[1].新たに発見した硫酸化シアリルLe^x分子種の系統的合成とサイクリックシアル酸を含む新しい免疫系制御システムの解明:O-グリコシド型糖鎖上にシアリルLe^x及び硫酸化シアリルLe^xを含む9糖糖鎖の高効率的合成に成功した(Tetrahedron Left.,41(2000)3879-3882)。これらの糖鎖は、L-及びP-セレクチンのカランター・レセプターであるGlyCAM-1及びPSGL-1上に存在すると予測され、今後のセレクチン・リガンド研究に大いに寄与するものと期待されている。一方、硫酸化シアリルLe^x生合成上、α(1→3)-フコシルトランスフェラーゼは重要な鍵酵素となっている。硫酸化によるグルコサミン6位水酸基のキャツピングが本酵素(Fuc-TV11)に及ぼす影響を分子レベルで明らかにした(J.Carbohydr.Chem.,19(2000)747-768;Carbohydr.Res.,328(2000)85-94)。すなわち、Fuc-TV11のFucose転移活性は、シアリルα(2→3)-ネオラクトテトラオースの硫酸化により増強され、高内皮細静脈(MEV)中の6-スルフォシアリルLe^x生合成に特異的に関与していることを証明した。 [2].コリン作動性ニューロンに発現する微量ガングリオシド、Chol-1(α-シリーズ)ガングリオシド及びその硫酸化誘導体の系統的大量合成法の開発と未発見生理機能の解明:Chol-1ガングリオシドの系統的合成法について新たな合成経路の開拓を行った(J.Synth.Org.Chem.,Jpn.58(2000)1108-1113)。すなわち、早期にGlcNAcの6位水酸基に立体ならびに位置特異的にシアル酸の導入に成功し、GT1aα及び関連化合物の系統的合成ルートを確立した。一方、Chol-1ガングリオシド生合成素で働くGD1α/GT1aα/GQ1bα合成酵素をクローニングし、マウスにおいて発現させた.(J.Biol.Chem.,275(2000)6717-6723)。
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