研究課題/領域番号 |
12306011
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
坂口 守彦 京都大学, 農学研究科, 教授 (00027187)
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研究分担者 |
木下 政人 京都大学, 農学研究科, 助手 (60263125)
河田 照雄 京都大学, 農学研究科, 助教授 (10177701)
平田 孝 京都大学, 農学研究科, 助教授 (40273495)
村田 道代 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (30133135)
林 由佳子 京都大学, 食糧科学研究所, 助手 (60212156)
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キーワード | ハマチ / エキス / 呈味物質 / ゼラチン / 脂肪酸 / ラット / マウス / うま味受容 |
研究概要 |
魚介類の風味とその発現機構に関する研究を進める目的で、本年度は材料としてハマチ(ブリ若魚)を用いて下記の成果(1-3)を得た。また、ラットおよびマウスを用いて下記の予備的な研究を行い成果(4および5)を得ることができた。 1.きわめて新鮮な上記魚類の普通肉(背肉部)を分離し、熱湯によってエキス画分を含む抽出液を調製し、各種の化学分析法によって遊離アミノ酸、核酸関連物質、有機塩基化合物などの低分子化合物の分析を行なった結果、その組成の大部分を明らかにした。 2.上記のエキス画分は低分子化合物以外にタンパク質、脂質や多糖類など高分子成分を含むが、本年度はタンパク質に着目し、アミノ酸分析、電気泳動などによって組成を検討したところ、その過半がゼラチンであることが明らかとなった。 3.上記の成果に基づいて合成エキスを調製し、呈味試験を行ったところ合成エキスの風味は、熱湯によって抽出したエキスのそれといくぶん類似してはいるもののかなり隔たりがあることがわかった。そこで、これに精製したコラーゲン(I型)から調製したゼラチンを加えて呈味試験を実施したところ、熱湯抽出液のもつ風味に近づくことが明らかとなった。 4.脂質の味認識機構を解明するため、まずラットを用いた脂質選択実験を行った。その結果、ラットは脂肪酸溶液を好んで選択摂取することが明らかとなった。さらに、生体膜上に脂肪酸分子を特異的に認識する受容機構が存在することが示唆された。 5.うま味に感受性をもつマウスから、酵素処理によって味細胞を単離し、うま味物質にたいする電気的応答をパッチクランプ法で記録した。その結果、うま味物質にたいして3種類の応答パターンを示したので、うま味の受容には複数のメカニズムが関与するものと推察した。
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