魚介類の風味とその発現機構に関する研究

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12306011
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 坂口 守彦 京都大学, 農学研究科, 教授 (00027187)
• 研究分担者: 木下 政人 京都大学, 農学研究科, 助手 (60263125) ; 河田 照雄 京都大学, 農学研究科, 助教授 (10177701) ; 平田 孝 京都大学, 農学研究科, 助教授 (40273495) ; 林 由佳子 京都大学, 農学研究科, 助手 (60212156)
• キーワード: ブリ / 筋肉 / 呈味成分 / マウス / グルタミン酸 / 味細胞 / FAT

研究概要

ブリSeriola quinqueradiataの呈味成分を明らかにする目的で、筋肉の熱水抽出液中に含まれる含窒素低分子成分、有機酸、無機イオンなどを定量し、この結果に基づいて調製した再構成エキスを用いて呈味テストを実施した。その結果、遊離アミノ酸(グルタミン酸、α-アミノ酪酸、α-アミノアジピン酸、β-アミノイソ酪酸、γ-アミノ酪酸およびヒスチジン)およびイノシン酸が主要な有機呈味成分となっていることが明かとなった。うま味にたいして感受性をもつマウスの味細胞を用いたパッチクランプ実験から、核酸関連物質によって相乗効果を示したグルタミン酸応答のみをうま味応答と考え、種々のグルタミン酸アゴニスト応答との比較によりうま味応答の性質を調べた。その結果、うま味応答は、既知のグルタミン酸受容体とは異なっていた。このことから見て、本受容体は、新規のタイプの受容体である可能性が高いことがわかった。また、これまでに味蕾の細胞膜上で脂肪酸を認識するタンパク質としてfatty acid translocase(FAT)を見いだし、報告したが、本年度はさらにFATなど脂肪酸の認識、代謝に関与するタンパク質をコードする遺伝子の発現が、脂肪酸をリガンドとする核内転写因子、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(PPARs)によって増大することを明らかにした。

研究成果

• [文献書誌] Satoshi Kubota: "Organic taste-active components in the hot-water extract of yellowtail muscle"Food Sci.Technol.Res.. (発表予定).
• [文献書誌] Xichang Wang: "Acceptability comparison of kamaboko gels derived from silver carp surimi and from walleye pollack between the Chinese and Japanese"Fisheries Science. 68・1. 165-169 (2002)
• [文献書誌] 坂口守彦: "魚介類の含窒素低分子成分とおいしさ"日本水産学会誌. 67・5. 787-793 (2001)
• [文献書誌] Shota Tanimoto: "Changes of ATP and its related compounds in freshwater fish muscle during ice storage"JICA Working Report. No.20. 35-42 (2001)
• [文献書誌] Seong-Hee Oh: "Participation of ionotropic and metabotropic glutamate receptors in Taste cell responses to MSG"Journal Sensory Neuron. 3・3. 169-183 (2001)
• [文献書誌] Keiko Iseki: "Umami taste : Electropysiological recordings of synergism in mouse taste cells"Journal Sensory Neuron. 3・3. 155-167 (2001)
• [文献書誌] Kaeko Murota: "Inhibitory effect of monoacylglycerol on fatty acid uptake into rat intestinal epithelial cells"Bioscience, Biotechnology and Biochemistry. 65(2). 1441-1443 (2001)
• [文献書誌] Kaeko Murota: "Influence of fatty alcohol and other fatty acid derivatives on fatty acid uptake into rat intestinal epithelial cells"Lipids. 36(1). 21-26 (2001)
• [文献書誌] 高橋信之: "PPARsの生理・薬理作用"日本薬理学会誌. 117(4). 319-327 (2001)