研究課題/領域番号 |
12306014
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
基礎獣医学・基礎畜産学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
甲斐 知恵子 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10167330)
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研究分担者 |
辻本 元 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60163804)
中山 裕之 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (40155891)
三浦 竜一 東京大学, 医科学研究所, 助手 (00322074)
小原 恭子 東京大学, 医科学研究所, 講師 (20225478)
山内 一也 日本生物科学研究所, 研究部, 主任研究員 (30072888)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2003
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キーワード | モノネガウイルス / リバースジェネティクス系 / 牛疫ウイルス / イヌジステンパーウイルス |
研究概要 |
モノネガウイルスによる新興・再興ウイルス感染症が世界的に社会的問題となっており、その要因と考えられる動物種を越える感染機構の解明は大きな命題である。Canine distemper virus (CDV)は近年種を越えてアザラシ延べ2万頭やライオン数千頭を死亡させ、動物界での実例となった。我々はこの問題に対し、疫学調査からウイルス分離、遺伝子解析、抗体作製、動物実験と豊富な基礎的研究を行ってきた。また牛疫は、重篤な病原性を示すが、牛での感染実験は容易でなく個体レベルでの病原性発現機構は解明されていない。我々はこの基本的な命題を解明するために、極めて優れたウサギのモデル動物実験系を確立し、病態の詳細な解析を行ってきた。これらの背景を持つグループは世界にも例がない。最近モノネガウイルスでreverse genetics系が確立されたが、本新技術は世界でもごく僅かなチームしか持っていない。我々は逸早くCDVでこの新技術の開発に成功し、Rinderpest virus (RPV)は海外との共同研究によって得た。さらに、麻疹ウイルス(Measles virus ; MV)に関しては独自の分離株を用いて確立した。これまでの豊富な基礎研究を背景に、この新技術を応用することによって、初めて種特異性や病原性発現機構の解明が非常に優れた系で開始した。具体的には下記の研究項目により行った。 (1)種特異性感染機構の解析 (2)CDVレセプターの同定 (3)病原性発現機構の解析 (4)ウイルス増殖に関与する宿主細胞因子の解析 研究成果の達成度は個々の目標によって異なるが、全て達成できたものと、予期しなかった成果を得られたものがあり、モービリウイルスの種特異性発現機構の解明という大きな命題に対しての研究方向の明るい見通しが得られた。 特に、(1)(4)に関しては、RPVのRBOK株とL株を用いて種を超えた病原性の発現にP蛋白が大きく関わることを示唆した。また、L株の中の病原生を支配する蛋白としては、N蛋白の可能生が明らかとなった。また、(2),(3)に関してはCDVの感染に関わる新たな分子が浮上し、これに結合するH蛋白上の中和エピトープも解析した。また、レポーター遺伝子を持ったCDVを作製し、感染感受性細胞の同定や介在配列の重要性を明らかにした。このように本研究によって基礎的研究にも重要な多くの知見を得ることができ、本研究の貢献度は大きいと考えられた。
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