研究課題/領域番号 |
12306015
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
木曾 康郎 山口大学, 農学部, 教授 (10142374)
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研究分担者 |
森本 将弘 山口大学, 農学部, 助手 (30274187)
岩田 祐之 山口大学, 農学部, 教授 (40193750)
山本 芳実 山口大学, 農学部, 教授 (40115514)
奥田 優 山口大学, 農学部, 助手 (10325243)
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キーワード | 子宮NK細胞 / MHCクラスI分子 / パーフォリン / 胎盤 / 脱落膜 / IL-2 / 子宮腺形成不全 / 子宮腺過形成 |
研究概要 |
本年度はパーフォリンノックアウトマウス(PKO)とβ_2ミクログロブリンノックアウトマウス(β_2KO)を中心に、妊娠子宮におけるパーフォリンとMHCクラスI分子の生殖学的役割を検討した。PKO、β_2KO、B6(対照)の各マウスから、妊娠4-18日の子宮を採出し、生殖能力、胎盤、子宮NK細胞を比較検討した。各マウス間で生殖能力(産子数および流産率)に有意な違いはみられず、胎盤のサイズ・重量、その構造においても、形態的相違は認められなかった。しかし、各マウス間で子宮NK細胞の形態において特徴的な顆粒とその構造が観察され、子宮NK細胞の出現頻度はβ_2KOの間膜腺において、他の2種のものと比較して高かった。すなわち、B6胎盤におけるパーフォリン発現は妊娠8-12日(胎盤形成期)に有意に高く、このことは子宮NK細胞の出現動態と符合しているが、PKO胎盤では子宮NK細胞の出現動態は同様であってもパーフォリン発現はなく、β_2KO胎盤ではパーフォリン発現は同レベルであっても子宮NK細胞の出現頻度が高かったことになる。このことは、パーフォリンは子宮NK細胞の分化に関与しないが、MHCクラスI分子はその分化に関わっていることを示す。これらのマウスにIL-2を投与すると流産を引き起こすが、IL-2投与によるパーフォリンmRNA発現をリアルタイムPCRで定量的に調べると、β_2KOとB6マウスで有意に高くなったが、驚いたことにPKOマウスでも有意に高くなった。パーフォリン蛋白は存在しないが、そのmRNAが高くなったことで、前年度明らかにしたPKOマウス脱落膜の異常が説明できるかどうか、実験的疑問として残るので、次年度はこれも合わせて検討する。さらに、次年度は本年度新しいモデルとして子宮腺形成不全モデルおよび子宮腺過形成モデルをマウスで作成したので、このモデルにおける生殖能力および生殖免疫学的解析を試みる。
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