研究課題/領域番号 |
12306016
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
藤崎 孝蔵 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 教授 (00292095)
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研究分担者 |
大塚 治城 東京大学, 大学院・農学生命研究科, 教授 (80261957)
玄 学南 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 助教授 (10292096)
五十嵐 郁男 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 教授 (80159582)
神尾 次彦 農林水産省, 家畜衛生試験場, 研究室長
井上 昇 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 講師 (10271751)
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キーワード | ピロプラズマ原虫 / 小型ピロプラズマ原虫 / タイレリア・オリエンターリス / バベシア・ギブソニ / バベシア・ロドハイニ / 組換えウイルス / ウイルスベクター / 試験管内培養 |
研究概要 |
ウシ小型ピロプラズマ症は、Theileria orientalis orientalisならびにT.o.sergenti原虫によって惹起されるマダニ媒介性の住血原虫病である。とくに日本を含む東アジア諸国において本病による被害が甚大であり、放牧経営における最大の障害として長年問題視されてきた。本病の対策は、これまで牛体への殺原虫剤の投与と、媒介マダニの撲滅を目的とする殺ダニ剤の適用に頼ってきた。しかし、これらの薬剤の使用は、環境保全や食品安全の面から問題のあることが懸念されており、新たな対応策、とりわけワクチンの開発が急務になっている。現在、本病のワクチンとしては、我々が平成10年度に農水省の製造承認を得た「牛小型ピロプラズマ病スポロゾイト生ワクチン」が唯一のものである。本生ワクチンは、スポロゾイトの少量接種によって成立した感染免疫によって、その後の再感染による貧血・発熱などの発症が抑制される事実を応用したものであるが、感染免疫に頼る本ワクチンは、有効性は優れているものの、接種牛が新たな感染源となる危険性や、虫体の保存・配布に液体窒素を使用しなければならないなどの問題点を内包している。このような社会的・学術的背景に鑑み、本研究は、新しいタイプのヘルペスウイルスをベクターとした組換えワクチンの開発を行うものである。 平成12年度においては、(1)小型ピロプラズ原虫の試験管内培養を行い、得られた培養虫体を用いたcDNAライブラリーの作製を検討するとともに、(2)近縁原虫であるBabesia rodhaini、B.microtiならびにB.gibosoniをモデルとして、必要な遺伝子のクローニング、遺伝子のウイルスベクターへの組込み、組換えウイルスの性状解析、発現蛋白質の性状解析を検討することによって、次年度以降の小型ピロプラズマ原虫遺伝子をウイルスベクターに組込む際に必要となる基礎的な知見と情報の集積を行った。
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