研究課題/領域番号 |
12307001
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
彼末 一之 大阪大学, 医学部, 教授 (50127213)
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研究分担者 |
永島 計 大阪大学, 医学部, 助手 (40275194)
土肥 義胤 大阪大学, 医学部, 教授 (10028574)
稲垣 忍 大阪大学, 医学部, 教授 (90151571)
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キーワード | 体温調節 / 遠心路 / 効果器 / 視床下部 / ラット |
研究概要 |
体温のホメオスタシス調節は神経系で行われているにも関わらず、それに関する理解は断片的なものに限られている.また物質的な解明もほとんどなされていない.多くの物質の体温にたいする影響を検討した仕事は多いが、調節系の中でどのような役割を果たしているかがはっきりと特定された物質はほとんどない.これらの大きな原因は体温調節の神経回路がほとんど明らかになっていないからである.とくに体温調節における温度感受部位、また求心路、遠心路の接点として重要な視束前野からの遠心性神経回路については情報が全く欠如していた.本研究の目的は逆行性トレーサー法と視束前野温度刺激時のFos発現解析を組み合わせることで上の残された問題を一挙に解明し、ラットの自律性体温調節効果器へのPOからの遠心性経路を完全に確定することである.本年度は無麻酔・無拘束ラットの視束前野温度刺激システムを作製し、これをもちいて視東前野加温、冷却時の脳内Fos発現部位を検索した.その結果加温時には熱極付近に高密度のFos発現が観察されたが、冷却時にはFos発現は見られなかった.この結果は視束前野には主として温感受性ニューロンが存在しており、冷却時の体温調節反応は温ニューロンの抑制によるものであることを直接的に示すものである.また視束前野加温時にはとくにZonaincertaに、また冷却時にはparastrial nucleus, paraventricular nucleusに強いFos発現が観察され、これらの部位が視束前野から情報を受けて効果器反応発現に関与していることが示唆された.
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