研究概要 |
8週令のDBA/1JマウスにII型コラーゲンとCFAで免疫することにより関節炎を発症させる系を用い、サイクリン依存性キナーゼインヒビター(CDKI)遺伝子p16INK4aないしp21Cip1を持つ組換えアデノウイルスの関節内投与により遺伝子治療を行った。その結果、関節腫脹は抑制され、組織学的にも滑膜増殖や単核球浸潤は抑制され、骨・関節破壊も軽減した。さらに、関節炎発症後に治療を開始した場合でも有意の治療効果が得られた。また、遺伝子治療により、炎症性サイトカインの発現がメッセージ、蛋白レベルとも著明に抑制されていた。なお、これらの効果にp16INK4aとp21Cip1の間で有為な差を認めなかった。すでに我々はp16INK4aを用いた遺伝子治療の有効性をラットアジュバント関節炎の系で報告しているが(Nature Medicine 5:760,1999)、マウスコラーゲン関節炎においては関節特異的なp21Cip1誘導も有効な治療法となりうることが示された。
|