研究概要 |
CAGリピートの異常伸長による遺伝性神経変性疾患の病因遺伝子を検索するためには,翻訳領域にCAGリピートを有する遺伝子を体系的に単離することが必要である。CAGリピート病の候補遺伝子を検索することを目的に,ヒト脳cDNAライブラリー(human fetus:1×10^6,striatum:6×10^5,substantia nigra:6×10^5)を用いて,末端標識した(CAG)10または(CAG)20をプローブとしてスクリーニングを行い,CAGリピートを有するcDNAクローンの単離を行った。human fetus cDNAライブラリーからは,111クローン,striatum cDNAライブラリーからは,29クローン,substantia nigra cDNAライブラリーからは,26クローンを単離した。これらのクローンについて全塩基配列を決定した。その結果,重複クローンを除いて,92個の独立したクローンを得た。これらのcDNAクローンに含まれるCAGリピートの長さは,長いものでは30リピートを超えるものも含まれていたが,6-10リピートの範囲のものが数の上では多かった。これらのcDNAの中には,DRPLA,SCA1,androgen receptor,myotonin kinase遺伝子など,既知のCAGリピート病の病因遺伝子が含まれており,スクリーニングの方法としては強力なものであると考えられた。これらのcDNAについて,radiation hybrid panelを用いたマッピング,ヒトゲノムDNAのデータベースを用いた相同性検索などを駆使することにより,詳細な染色体上のマッピシグを行い,当該領域に遺伝子座がマップされている遺伝性神経疾患の病因遺伝子であるかどうかの検証を行っている。
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