研究分担者 |
土井 隆一郎 京都大学, 医学研究科, 講師 (20301236)
嶋田 裕 京都大学, 医学研究科, 講師 (30216072)
小野寺 久 京都大学, 医学研究科, 助教授 (50240825)
有井 滋樹 東京医科歯科大学, 医歯学総合研究所, 教授 (50151171)
山崎 誠二 京都大学, 医学研究科, 助手 (50303839)
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研究概要 |
食道癌の病態解析ではマイクロアレイ解析により癌細胞特異的に発現している遺伝子、組織で発現していても細胞株で発現が見られない遺伝子、扁平上皮癌と腺癌で発現の異なる遺伝子が同定された。STATによる細胞死シグナル誘導療法ではEGFと同様にINFγ投与で食道癌細胞株の50%に著明な増殖抑制効果が得られた。さらに正常食道上皮の長期の培養系においてEGF-STAT情報伝達系はin vitroでは細胞傷害性がなく、分化のマーカーのインボルクリンの発現が誘導されることを証明した。膵癌では分化再生と癌化の接点を検討した.その結果,PDX-1が膵の分化に重要な役割を果たしていること,PDX-1遺伝子導入により肝においてインスリン発現細胞を誘導し得ること,PDX-1発現がヒト膵癌の予後因子であることなどを発見した.一方治療においてはvitroにおけるp16活性中心ペプチド導入効果を,細胞周期の変化,Rb蛋白のリン酸化抑制機序から検討,さらにvivoモデル,特に腹膜播種モデルにおいて検討し応用し,p16活性中心ペプチド導入により,膵癌増殖を抑制し得た.浸潤については複数の標的分子の役割を検索し,RECKが予後因子となることを発見した.腫瘍血管新生の制御に基づくドーマントセラピーの開発では、VEGFの受容体Flt-1の可溶型(以下、sFlt)遺伝子をHVJ-リポソームに封入し作成したHVJ-sFltを用いて、胃癌皮下腫瘍及び腹膜播種モデルにおいて優れた治療効果を認めた。またin vitroでsFltを遺伝子導入した自家線維芽細胞を腹腔内投与し、大腸癌創部再発モデルにおける優れた治療効果があった。一方血管新生阻害因子アンジオスタチンを生成するマトリックスメタロエラスターゼ(MME)遺伝子を用いてHVJ-MMEを作成し、皮下腫瘍モデルに対して増殖抑制効果を確認した。
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