研究概要 |
変形性関節症(OA)の成因に関わる遺伝子の解明を目的として、モデルマウスからのアプローチと罹患同胞対連鎖解析のための症例のDNA収集を行っている。 1.モデルマウスの遺伝子 遺伝性に関節の石灰化と変形をきたすankマウスについて、ポジショナルクローニングによる原因遺伝子の同定を試みていたが、他の研究グループによりその原因遺伝子は先に同定された。(AndrewM et al.2000,Science)その報告によると、ankマウスの原因遺伝子ankは、新規遺伝子であり、そのコードする蛋白は石灰化抑制物質であるピロリン酸の細胞内外の輸送に関わる膜蛋白であった。遺伝子内のnonesense mutationにより、細胞外のピロリン酸濃度が上がらないため組織の石灰化をきたすと報告された。 ヒトOAへのAnk遺伝子の関与を調べるため、ヒトAnk遺伝子のgenomic structureを解析し、SNPs(一塩基多型)を同定した。報告されたヒトcDNA sequenceを用いて、ゲノムプロジェクトで進行中のゲノムシーケンスとのhomology searchを行い、exon-intron junctionとイントロンのシークエンスを同定した。その結果ヒトAnk遺伝子は12のexonからなっていた。exon-intron junction部のシークエンスから各エクソンを増幅するPCR primerを設定し、20例のOA症例のgenomic DNAを対象として、SSCP解析を行った。A1031G G1559Aの2カ所のSNPsを同定した。今後さらにSNPsの同定を進めていき、OA症例とコントロールのDNAを用いて、相関解析を行う。 2.変形性関節症症例のDNA収集 罹患同胞対連鎖解析および相関解析のためのDNA収集を行っている。現在までに、複数の関節に外傷の影響のないOAをきたしている弧発例50例と姉弟例数例を収集した。
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