研究課題/領域番号 |
12307032
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
八竹 直 旭川医科大学, 医学部, 教授 (60028579)
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研究分担者 |
野田 進士 久留米大学, 医学部, 教授 (90080853)
郡 健二郎 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (30122047)
栗田 孝 近畿大学, 医学部, 教授 (10088528)
鈴木 孝治 金沢医科大学, 医学部, 教授 (70064615)
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キーワード | 尿路結石症 / 細胞結晶間相互作用 / オステオポンチン / 蓚酸カルシウム結石 / フローサイトメトリー / ヘパラン硫酸 / 細胞内情報伝達系 / 細胞障害 |
研究概要 |
1 実験的尿路結石モデルでのcrystal-cell interactionは、旭川医科大学のグループにより、蓚酸カルシウム(CaOx)結石形成モデルにおける腎集合管細胞でのphosphatidylserine(PS)発現とその定量的評価が検討された。細胞膜表面へのPSの露出は、尿路結石形成の初期過程におけるCaOx結晶の接着を規定する要因の一つであり、PSを特異的に認識するAnnexin Vを用いたflowcytometryにより検討した結果、CaOx結石形成ラット群において、腎集合管細胞において有意にPS発現細胞が増加していることが明らかとなった。 2 結石関連蛋白の培養細胞での発現とその機能的検討は、近畿大学のグループにより、CaOx結晶のMDCK細胞への付着およびthrombin、osteopontin(OPN) antisense処理後の細胞への付着が、^<45>Ca測定および走査型電子顕微鏡により検討された。その結果、MDCK細胞へのCaOx結晶の付着はOPN蛋白によって促進されること、またそれはthrombinやantisense oligonucleotideにより阻害されることが明らかとなった。 3 実験的CaOx結石モデルへのOPNのantisense遺伝子導入と各種サイトカイン、接着分子については、名古屋市立大学のグループにより、細胞内情報伝達系におけるOPNの発現機構と結石形成との関係が検討された。尿細管培養細胞(MDCK, NRK細胞)にOPNとvitronectinを添加すると、細胞内のOPN発現の増加とFocal adhesion kinase (FAK)のリン酸化促進が観察され、OPNによるFAKを介したOPNの自己分泌機構の関与が推定された。一方、OPNの発現を制御する転写因子RUNX2の検討では、RUNX2はOPNの上流部位に結合し転写を促進していることが示唆された。 4 培養細胞系における蓚酸やCaOx結晶による細胞障害は、久留米大学のグループにより、CaOx結石形成過程における高分子抑制物質heparan sulfate (HS)の機能解析として、腎尿細管上皮細胞での細胞内Ca^<2+>の変化が検討された。その結果、細胞内Ca^<2+>は、蓚酸添加やpHの変化にて短時間内に変化し、蓚酸添加群において細胞質内でCaOx結晶形成を起こしうることが明らかとなった。一方、HSは細胞表面のcharge barrierとして、蓚酸イオンの細胞内流入を阻止することで細胞傷害を防ぎ、CaOx結石形成抑制に関与している事が示唆された。 5 結石関連蛋白質のmRNA発現コントロールによる結石形成、結石抑制への影響については、金沢医科大学のグループにより、ヒト近位尿細管細胞に対する結石関連蛋白の発現および蓚酸による細胞傷害が検討された。ヒト培養細胞においても結石関連蛋白質の発現から蛋白の存在が確認され、蓚酸による細胞障害の結果、細胞膜での活性酸素の局在が明らかとなった。蓚酸刺激による活性酸素の発生とこれら蛋白の発現は強い関係があると考えられた。
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