研究課題/領域番号 |
12307049
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
白砂 兼光 九州大学, 歯学研究院, 教授 (30093420)
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研究分担者 |
杉浦 剛 九州大学, 歯学部・附属病院, 助手 (40322292)
石橋 浩晃 九州大学, 歯学研究院, 助手 (90254630)
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キーワード | 口腔癌 / 浸潤・転移 / プロテアーゼ / 転写因子 / 浸潤抑制 |
研究概要 |
本研究は癌浸潤・転移を制御している分子機構を解析し、分子を標的とした新規の癌治療にまで発展させようとするものである。我々はすでに癌細胞をEGFやTNFαなどのサイトカインで処理するとin vitro浸潤モデル下での細胞浸潤が著明に促進され、これらの細胞の浸潤能の促進はマトリックスメタロプロテアーゼMMP-9やウロキナゼー型プラスミノーゲンアチベター(uPA)の産生、またuPA受容体(uPAR)の発現と極めて密に相関しており、またそれらの発現にはAP-1やNF-kBなどの転写因子によって調節されていることを示唆した。一方、EGFやTNFαなどで促進される細胞浸潤はデキサメタゾンで処理すると浸潤が著明に抑制されるという結果を得ている。この浸潤抑制はAP-1やNF-kBを介したMMP-9、uPAの産生抑制、またuPAR発現抑制によるものであった。即ち、AP-1やNF-kBは細胞浸潤の標的になりうることが示唆された。そこで、AP-1やNF-kB転写因子プロモーター領域に結合する塩基配列を含んだ二本鎖合成オリゴヌクレオチド(20塩基対程度)を作製し、これをHVJ(Hemagglutinating virus of Japan)ウイルスベクターを用いて癌細胞に導入した。AP-1おとり遺伝子を導入した癌細胞はEGFによって促進されるuPAとuPARの発現を抑制した。NF-kBおとり遺伝子を導入した癌細胞はTNF-αによって促進されるMMP-9の発現を抑制した。しかしながら、両者の効果はデキサメタゾンの効果に比較すると弱く、癌細胞の浸潤に対する効果は得られなかった。一方、Sp-1おとり遺伝子を導入した癌細胞はサイトカインTNF-αによって促進される血管新生因子VEGF、TGF-β、組織因子、uPAの産生および癌浸潤を著明に抑制した。Sp-1でみられる癌浸潤抑制効果が、AP-1やNF-kBおとり遺伝子では弱いのかについて今後、検討する予定にしている。
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