研究概要 |
1)HVJ-リポソーム法を用いたおとり遺伝子導入による血管新生抑制効果の検討 培養口腔扁平上皮癌細胞にHVJ-リポソーム法を用いて,転写因子splを標的としたおとり遺伝子を導入する至適条件を検索し,l00%の細胞に導入を可能とする導入条件を決定した.さらに,Splに対するおとり遺伝子導入により複数の血管新生因子(VEGF, TGFβ1,Tissue factor, HGF)の産生を同時に抑制することが可能であるこ`とを解明し,血管新生抑制による新規の遺伝子治療法として応用できる事を明らかにした.また,本法を用いると基質破壊酵素(uPA)の産生も抑制することが可能で,その結果,腫瘍の血管新生のみならず癌細胞の浸潤も抑制できることを証明した. 2)デキサメタゾン(DEX)による培養癌細胞の浸潤抑制効果の検討 培養口腔扁平上皮癌細胞をDEXで処理すると,幾つかの細胞外基質破壊酵素(MMP-2,MMP-9,uPA)を同時に抑制し,培養癌細胞の浸潤能を低下させることが可能であることを解明した.また,そのDEXによる癌細胞の浸潤抑制効果は(1)IKBの活性亢進による転写因子NF-kBの抑制,(2)転写因子AP-1の活性化抑制およびuPAの抑制因子であるPAI-1の産生亢進,に起因することを解明した・また,AP-1活性抑制により血管新生因子(VEGF)の産生も抑制できることを立証し,血管新生抑制による癌治療法としても応用できることを明らかにした.
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