研究課題
・非繊維性マトリクスラット臼歯歯根膜における各種プロテオグライカンの分布を免疫組織学的に検討したところ、咬合機能喪失動物モデルにおいては、歯根膜プロテオグライカンの減少が認められ、これらの非繊維性マトリクスは咬合機能と密接に関連しており、組織の恒常性維持機構や組織のリモデリングに重要な役割を果たしていることが明らかとなった。・微小血管系歯根膜の微小循環系について、ラットの咬合機能低下モデルを用いて咬合力という機械的刺激が及ぼす影響について検討したところ、低機能下では歯根膜幅の狭窄とともに血管径が小さくなり、血管数も減少した。そのメカニズムの一つとして、機械的刺激の低下による血管収縮因子であるエンドセリンの増加、また、拡張因子であるNOの関与が示唆された。・歯根膜機械受容器ラットin vitro下顎-神経標本を用いて電気生理学的手法に従い、歯根膜機械受容器の生理学特性を定量的に解析した結果、咬合機能低下により歯根膜支配神経の応答が低下したものが、機能回復に伴い再賦活されることが明らかとなった。また、成長にともなう変化も明らかにされた。・骨形成活性機械的刺激による骨組織リモデリングのメカニズムを解明するために、細胞レベルでの検討を行った。その結果、培養骨芽細胞様細胞においてshear stressを与えた際にみられる細胞内Caイオン濃度の上昇には、細胞膜の伸展により活性化されるstretch-activated channelが関与し、アクチンフィラメントなどの細胞内骨格も影響を与えていることが明らかにされた。また、咬合機能低下モデルにおける歯根の状態および歯槽骨の再構築の、歯の生理的移動の様相も解明された。同様に機能低下歯の矯正力による移動や、咬合力を排除したモデルの実験的歯の移動により、より弱い力が矯正の歯の移動においては、健全な歯周組織が維持されることが明らかとなった。
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