研究課題/領域番号 |
12307054
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物系薬学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
入村 達郎 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (80092146)
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研究分担者 |
伝田 香里 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (00313122)
築地 信 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (90302611)
東 伸昭 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 講師 (40302616)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2003
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キーワード | ムチン / MUC2 / N-アセチルガラクトサミン転移酵素 / O-グリコシレーション / レクチン / エボラウイルス / アメーバ赤痢 / マクロファージ |
研究概要 |
本研究では上皮の分泌する糖鎖を多量に含む巨大分子であるムチンが、粘膜上皮において原虫、細菌、ウイルスなどの寄生体に対する感染防御を担う特異的な免疫分子である事を証明する事を主な目的としている。これまでに、(1)粘膜上皮ムチンが実際にグリコシレーションのパターンにおいて多様であること、(2)特定のパターンを生じるメカニズムが複数のペプチドN-アセチルガラクトサミン転移酵素(ppGalNAc-T)の組み合わせによって制御されていること、(3)Th2系サイトカインであるIL-4によって、特定のppGalNAc-T (ppGalNAc-T1、T4、T7)の発現が変化してこれによって糖蛋白質へのO-グリカンの導入のされ方に変化が生じることを示した。本年度には、実際に異なる組み合わせのppGalNAc-Tを発現している細胞で、産生されるムチンのグリコシレーションのプロファイルが異なること、これらの細胞で、レクチンとの相互作用が異なることを示した。さらに、結果として産生された種々のアレンジでGalNAcを付加したペプチドに対して植物レクチンVVA-B4(赤痢アメーバのレクチンと類似の特異性を持つ)の結合性が、背景のペプチドを含めてどのような構造的モチーフを認識しているのか詳細に解析した。赤痢アメーバのレクチンのリコンビナント体の取得にも成功したので、そのムチンとの相互作用における特異性解析が可能になった。また、より広範囲にO-グリカンの構造と外界との相互作用の関連を追求するために必須な、O-グリカンの微量解析法を確立した。一方、感染性寄生体の持つムチン様分子の役割を追求する一環として、エボラウイルス表面糖蛋白質のムチンドメインの役割を明らかにした。ムチンドメインはマクロファージ及び樹状細胞表面に発現するガラクトース型C型レクチン(MGL)と結合することによって細胞内に取込まれ感染が成立することを明らかに示した。エボラウイルス表面糖蛋白質のムチンドメインにはN-グリカンとO-グリカンが含まれるが、O-グリカンがMGLとの結合を介して感染の成立に関与することを示した。
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