研究分担者 |
遠藤 敏夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 日本学術振興会特別研究員(DC2)
増原 英彦 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 講師 (40280937)
田浦 健次朗 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (90282714)
山本 泰宇 東京大学, 大学院・理学系研究科, 日本学術振興会特別研究員(DC1)
大山 恵弘 東京大学, 大学院・理学系研究科, 日本学術振興会特別研究員(DC1)
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研究概要 |
与えられた資源量などに適応する並列・分散プログラムの実行基盤に関する研究を行っている.本年度はその基礎となるアルゴリズムなどを中心に,以下の研究を行った.(1)タスクの計算・通信量,計算機・通信網の容量に応じたタスク配置アルゴリズムに関する研究,(2)適応的にクライアントプログラムを移動して実行するデータサーバに関する研究,(3)高速な実行時コード適応方式に関する研究,(4)分散・並列ごみ集めのアルゴリズムと,さまざまなの条件下での性能モデルに関する研究.(5)さまざまな並列度を持つプログラムに対して効率よく動作する並列言語に関する研究. (1)は,タスクや資源の量が既知,かつ時間とともに一定であるという理想的な条件を導入して,良いタスク配置を計算するアルゴリズムに関する研究である.このような理想的な条件のもとでも最適な解を求めるのはNP完全問題であることを示し,かつさまざまな条件下でよく動作する近似アルゴリズムを求めた(文献[1]). (2)は,(1)の研究の実践的な発展であり,大量のデータを供給するサーバおよびそのデータを処理する(多数の)クライアントプログラムが与えられたときに,サーバ,クライアントの計算・通信容量,プログラムの計算・通信量に応じて,一部のクライアントプログラムをサーバ側に移動させて処理する方式に関する研究である(研究継続中). (3)は,実行時の条件に応じて動作を変えるプログラムを少ないオーバーヘッドで実行する言語処理系に関する研究である.実行時にパラメータが確定すると,そのパラメータに特化されたプログラムを,一般的な(いかなる条件下でも動作する)プログラムから高速に生成する.そのような処理系をJavaのバイトコードの変換器として実現した(文献[2]). (4)は,計算機のアーキテクチャや通信バンド幅が,並列ごみ集めの性能にどのような影響を与えるかを解析・実験した研究である.これはアーキテクチャや通信性能に適応するごみ集め方式を考察する上での基礎となる.DAGのスケジューリングや,待ち行列解析などの手法を組み合わせて,複数の共有メモリ計算機(Sun Ultra Enterprise 10000およびOrigin 2000)によく適合するモデルを考案し,実験によってそれを実証した(文献[3]). (5)は,与えられたプログラムの並列度が高い・低いによらず効率的に動作する並列言語に関する研究である.これまでのほとんどの並列言語やライブラリの実装は並列度が低い(ボトルネックが存在する)プログラムに対して性能が極端に悪化していた.この研究ではそれを改善し,様々な条件下で効率よく動作する,共有データに対するアクセス方式,スケジュール方式を明らかにした(文献[5-6]).また,プログラムの持つ並列度に応じて実行プロセッサ数を増減させる方式についても研究した(研究継続中).
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