研究概要 |
高性能な並列プログラム言語処理系,特に実行時の状況に適応して高速化を図るための研究を多方面にわたって行った. 文献[1, 3]において,並列オブジェクト指向言語において,オブジェクトに対するボトルネックを適応的に解消する方式を提案,実装した(この方式は並列オブジェクト指向言語に限らず,多くの共有メモリプログラムに適用できる).同方式では複数のメソッド起動が同じオブジェクトに対して衝突したのを検知して,それをひとつの等価なメソッドに置き換える.これは従来,reductionなど,特定のパターンに対してコンパイラが行っていたものをより一般的に実行時に適応的に行うための仕組みである. 文献[2]では並列メモリ管理の性能に関する研究を行った.これは計算機のメモリアーキテクチャによって同じgarbage collectorの性能が大幅に違い,その原因を究明することに端を発した研究であり,計算機のアーキテクチャパラメタに適応して様々なgarbage collectorアルゴリズムを使い分けることを目標としている.パラメタとして,ヒープの形,オブジェクトのノードへの割り当て,メモリアクセス衝突時のqueueing時間を用いて,GCのmark時間を予想するモデルを提案した.これにより,2種類の共有メモリ計算機(Ultra Enterprise 10000とSGI Origin 2000)の性能の違いを解明することが出来た. 文献[6]では広域分散環境で資源のavailability,ネットワークの構成に適応して計算機間の接続を自動構築し,それによってインターネット上の大量のノードを簡便に利用できるシエル(Virtual Private Grid)を設計,開発した.
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