研究概要 |
プログラムの効率的な並列・分散実行を支える基盤技術について研究を行った. [1]逐次プログラムから半自動的に並列性を抽出する機構 メモリアクセスを記録しながら逐次プログラムを実行させることで,プログラムに内在する文,関数呼び出し,ループレベルの並列化を統一的に抽出する方式に関する研究を行った.コンパイル時の自動並列化と異なり,それぞれのコンパイラが認識するパタンに当てはまらない数多くのプログラムを,単純・統一的な枠組みで並列化が可能である. [2]自己組織化ネットワークによる,多数の計算機資源の効率的利用 広域に分散した多数の計算機を協調利用する際に問題となる,FirewallやNATによる接続制限,時折発生するネットワークの故障などを乗り越えるための基盤技術に関する研究を行った.多数の計算機が自律的に隣接ノードを探して接続し,全体として一つのグラフを構築する.そしてその上でルーティングを行って任意の計算機間の通信を可能にする. [3]停止時間の短い保守的ゴミ集め ポインタ表現に関する制約や,ポインタの位置に関する情報をコンパイラが出力する必要のない保守的ゴミ集めは,言語処理系作成者が再利用しやすいゴミ集めとして広く利用されているが,従来は停止時間が長いために実時間アプリケーシヨンには不向きであった.本研究ではその理由に関する詳細な分析を行い,従来のアルゴリズムに比べて10分の一以下の最悪停止時間(10ms以下)を達成し,保守的ゴミ集めの適用範囲を向上させた.
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