モバイル共有空間における多元アクセス方式の実現

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12308013
• 研究機関: 静岡大学
• 研究代表者: 水野 忠則 静岡大学, 情報学部, 教授 (80252162)
• 研究分担者: 石原 進 静岡大学, 工学部, 助教授 (10313925) ; 佐藤 文明 静岡大学, 情報学部, 助教授 (40273164) ; 渡辺 尚 静岡大学, 情報学部, 教授 (90201201)
• キーワード: モバイルコンピューティング / コンピュータネットワーク / ワイヤレス通信 / 回線共有方式

研究概要

下記2つのサブテーマに沿って研究を行った。
A.通信回線共有方式
通信回線共有方式は、各々が無線などによる外部通信路を具備した複数のモバイル端末どうしが、無線LANなどにより一時的なネットワーク(クラスタ)を構成することを想定し、このクラスタとクラスタ外部の固定ネットワーク間での通信時に個々のモバイル端末が持つ外部通信路を同時に使用することで、個々の端末の持つ通信能力が小さくても擬似的に高速な通信を可能とする通信手法である。通信回線共有方式は複数の異なるプロトコル階層で実現可能であるが、本年度は昨年度にプロトタイプが完成しているアプリケーション層での実現方式の実環境での試験、動的な環境変化への適応、および問題点であった転送データサイズが小さい場合の効率低下を防ぐ機能改善を進めた。また通信回線共有方式のIP層での実現方式としてMobile IPを応用した方式を設計し実装を進めた。さらに、通信回線共有方式の応用として、マルチメディアデータのストリーミング転送時の基礎的な特性評価と、効率的なストリーミング転送のためのアプリケーション設計を行った。
B.集中無線制御方式
集中無線制御方式は、個々のモバイル端末の無線通信機能に代えて高速無線通信機能を、クラスタを代表する装置に持たせ、固定網との通信を効果的に行う手法である。固定網とクラスタの代表機器との間は比較的高速な通信が可能であることを利用して個々のモバイル端末にない通信機能を代用させることを狙っている。本年度は通信回線共有方式でのクラスタを無線アドホックネットワークで構成した場合のクラスタ内端末の管理方式を設計し、プロトタイプによりその効果を確認した。

研究成果

• [文献書誌] X.Wang, F.Li, S.Ishihara, T.Mizuno: "A Multicast Routing Algorithm Based on Mobile Multicast Agents in Ad-Hoc Networks"IEICE Trans. on Communications. Vol.E84-B No.8. 2087-2094 (2001)
• [文献書誌] G.Qiang, Z.Liu, S.Ishihara, T.Mizuno: "CDMA-based Carrier Sense Multiple Access Protocol for Wireless LAN"Proc.of IEEE VTS 53rd Vehicular Technology Conference, Spring, 2001. (CD-ROM). 153 (2001)
• [文献書誌] X.Wang, F.Li, S.Ishihara, T.Mizuno: "An Agent-based Multicast Routing Algorithm for Mobile Ad-Hoc Network"Proc.of the ACIS 2nd International Conference(SNPD'01). 376-384 (2001)
• [文献書誌] Y.Konishi, S.Ishihara, T.Mizuno: "A Fast WWW Access Method for Multiple Wireless Links Shared by Mobile Computers"Proc.of ICOIN-16. 9C-2-1-9C-2-12 (2002)
• [文献書誌] 小西, 石原, 水野: "通信回線共有方式を利用した高速Webアクセス方式の実装と性能評価"マルチメディア、分散、協調とモバイル(DICOMO2001)シンポジウム論文集. Vol.2001No.7. 295-300 (2001)
• [文献書誌] 齊藤, 小西, 石原, 水野: "複数端末を用いた同期分散型マルチメディアデータ伝送の提案"情報処理学会研究会報告、放送コンピューティング研究グループ. No.BCCGR-1. 67-73 (2002)