研究概要 |
本研究では、知能ロボットの知覚と行動の緊密な相互作用を作り出すために、ロボットの身体を会して知覚と行動の間に閉ループを作り,この閉ループと環境との相互作用からロボットを取り巻く環境を認識する問題に取り組んでいる. 今年度は、上記の問題のうちで、ロボットと環境との間に働く摩擦を計測する問題に取り組んだ.この問題を検討する中で,ロボットの行動を次の3種類に分けることが必要であることを示した:1)Planned Action(ロボットに対して送出したアクションコマンド)、2)Attempted Action(ロボットの車輪の動きなど、エンコーダから読み取られたアクチュエータの動き)、3)Observed Action(外部視覚系などを用いて計測したロポットの環境中での動き)。これらのうち、Observed ActionとAttempted Actionの差が環境からロボットの身体が受けた力に相当しており,移動ロボットの場合にはこれが摩擦による力に相当することになる。この力を解析することにより、慣性や車重の影響を受けずに床面と車輪との間に働く摩擦係数を求める方法を示した。一方、Planned Actionと、Attempted Actionとの違いは、アクチュエータの応答速度や慣性力などの身体の動特性と、環境からの力の両方の影響を受けるため,そのままでは分析が行えない.また、環境知覚結果を利用したロボットのより知的な行動(スピンターンなど)については、まだ実現できていない。これらの問題については、来年度取り組み、その後に今年度の成果とともに発表を行う予定である. また、上記の検討で問題になったことは、実験に用いたロボットでは、最高速度が遅いため、スピンなどが行えないことである。このため、より高速なロボットのアクチュエータにエンコーダを取り付け、その計測結果をホストコンピュータにフィードバックするシステムを現在製作中である。 一方,ロボットの身体の動きを観測する外部視覚系については、1台のカメラを用いたケースだけではなく、複数台のカメラを用いたケースの2つについて検討を行った。このうち、複数のカメラを用いた場合については、視体積交差法を用いた3次元形状の実時間復元システムを構築しているが、復元される形状の精度が低いため、詳細な分析には適さなかった。視体積交差法の結果を利用してより詳細な形状復元を行うため,弾性メッシュモデルという計上復元モデルを考案し,対象のシルエットと輝度や色の情報の両方を用いて詳細な形状復元を行う手法を示した. また外部視覚系ではなく、ロボットに取りつけたカメラを利用してロボットの動きを推定する問題(localization)についても検討を行った.
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