研究課題
本年度はまず、短パルス高強度レーザー・クラスター研究を行うために不可欠である高性能のクラスター発生装置の開発を行った。クラスター発生装置は、パルスノズル、スキマー、高圧ガス系、大排気真空系で構成される。パルスノズルのオリフィス径は0.1〜0.3mmで、圧力85気圧までの高圧ガスを最小0.2ms間に高真空中に噴流させる。スキマーと呼ばれる円錐状のコリメータは、パルスノズルからの自由噴流ガス中で生成される高質クラスターを抽出するために取り付けられている。また、クラスターが高真空側へ効率よく輸送されるために、ガス噴流領域と超高真空領域の真空コンダクタンスを小さくする役割も果たしている。また、高速イオンとクラスターとの衝突機構を調べるために、分子動力学法を用いたシミュレーションコードを開発し、その概要とシミュレーション解析結果の例について検討を行った。クラスターゲットでは、分子動力学法で用いられる境界周期条件を必要としないので、高速イオンとクラスター粒子の散乱機構についてより詳細に調べることができた。さらに、実際に散乱粒子測定実験を行えば、高速イオンとクラスターとの衝突ダイナミクスの詳細な考察が可能になると思われる。今後は、このシミュレーションコードに核反応メカニズムを導入し、レーザー・クラスター核融合反応の考察に役立てる予定である。
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