研究課題/領域番号 |
12308027
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境動態解析
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
武岡 英隆 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (90116947)
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研究分担者 |
鈴木 聡 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (90196816)
井内 美郎 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (00294786)
田辺 信介 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 教授 (60116952)
竹内 一郎 愛媛大学, 農学部, 教授 (30212020)
上田 拓史 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 助教授 (00128472)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2003
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キーワード | 瀬戸内海 / 長期変動 / 栄養塩 / 海洋汚染 / 海洋生態系 / モニタリング |
研究概要 |
本研究では、佐田岬先端に設置した栄養塩自動監視システムを用いて、栄養塩等の水質連続自動モニタリングを行うとともに、過去の水質データや堆積物による周辺海域の環境の長期変動の解析や、現状の生態系の構造の分析等を行った。その結果、瀬戸内海の栄養塩環境について主に以下のことを明らかにした。 (1)瀬戸内海の窒素、リンは、6割以上が太平洋起源である。太平洋からの栄養塩の流入は、豊後水道の場合、南部の陸棚斜面底層からの富栄養水塊の流入によって起こっている。この現象は、底入り潮と名付けられた。 (2)豊後水道への栄養塩の流入は10年程度の時間スケールで経年的に変動している。1980〜2000年の約20年間は全般的に減少し、この結果、伊予灘においては栄養塩濃度の減少と植物プランクトン群集の多様度指数の減少が起こった。 これらの結果は、瀬戸内海の栄養塩環境や生態系が地球規模の環境変動に連動して変動しうることを裏付け、栄養塩自動モニタリングの意義を立証する重要な知見である。 堆積物の調査からは、豊後水道沿岸域において養殖由来の有機物や有機スズ汚染の影響が近年色濃く残っていることを明らかにした。また、瀬戸内海に特有の砂碓生態系においても調査を行い、砂堆域が基礎生産の増加や生態系に果たしている役割のいくつかを解明した。さらに、豊後水道、宇和海における微生物調査からは、太平洋からの高温水の流入(急潮)や底入り潮による微生物食物連鎖の変化の実態の一部を解明した。これらの結果は、将来において瀬戸内海の環境と生態系の長期変動を解明するための重要な基礎資料ともなるものである。
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