研究課題/領域番号 |
12308031
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中西 友子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30124275)
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研究分担者 |
曽田 良 住友林業(株), 筑波研究所, 主任研究員
丹下 健 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (20179922)
八木 久義 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80191089)
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キーワード | 年輪年代学 / 熱帯雨林 / 微量放射能 / 微量元素 / 放射化分析 / 炭酸固定 |
研究概要 |
本研究では、樹木の内部において年輪方向における水分ならびに元素動態から、特に年輪を形成しない樹木の生育期間を推定し、生育地における炭素固定能を求めようとする試みである。昨年に引き続き、微量元素と微量放射能の測定を中心に実験を進めている。インドネシアから伐採された年輪を形成しない熱帯樹種(Alstonia)と日本のスギ材を用い、木口材の中心から外側に向けて切り分け、各4〜8gの材を灰化、させて放射化分析に供したところ、16元素を分析することができた。スギでは心材形成と共にK, Mgなどのアルカリ金属・アルカリ土類金属濃度の増加が検出されたが、AlstoniaではMgがスギと同様、木口材中心部に向かい、濃度が高くなる傾向が見られた。また、スギではCo、FeおよびSnなどの重金属濃度が一定年年数ごとに濃度の最大値を示すことが判り、現在Alstoniaでも調べている最中である。^<210>Pb(半減期:22年)の放射能は非常に低いため、10〜70mgの灰を長期間測定することによりやっと測定できるようになったところである。^<210>Pbの放射能はAlstoniaがスギよりも5から10倍以上高い傾向を示し、スギでは放射能濃度が約20年で1/2となることが判った。Alstoniaは現在測定中である。これらの結果は昨年10月国際会議で発表するに至った。木口材中の水分分布については既に中性子照射を行ったので、得られた画像の解析を始めている。以上、年輪を形成しない樹木中の何が年ごとの生育指標となるかを評価し始めたところである。
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