研究課題/領域番号 |
12308032
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
構造生物化学
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研究機関 | (財)東京都老人総合研究所 |
研究代表者 |
鈴木 紘一 (財)東京都老人総合研究所, 所長 (80011948)
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研究分担者 |
反町 洋之 東京大学, 農学生命科学研究科・応用生命化学専攻, 助教授 (10211327)
猪股 光司 (財)東京都老人総合研究所, 分子生物学研究系・蛋白質生化学部門, 研究員 (30142649)
岩下 淑子 (財)東京都老人総合研究所, 分子生物学研究系・蛋白質生化学部門, 室長 (50111498)
前田 達哉 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教授 (90280627)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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キーワード | カルパイン / プロテアーゼ / X線構造解析 / 蛋白質の高次構造 / 活性化機構 / カルシウム / タンパク質の高次構造 |
研究概要 |
カルパインは大小二つのサブユニット(80Kと30K)からなるダイマー酵素であるが、80Kだけでも酵素活性を持つ。X線解析で高次構造を明らかにした結果、80Kを構成する4個のドメイン(I〜IV)のうち、プロテアーゼドメイン(II)は二つのサブドメイン(IIaとIIb)からなり、各々単独では他のシステインプロテアーゼの場合とほとんど同じであるが、両者は左右に離れ、システインプロテアーゼの場合と違って、両者間の溝に存在する活性中心が正しく形成されていない。カルシウムによる構造変化でIIaとIIbが相対的に移動して活性中心を形成することがカルパインの活性化機構である。この活性化機構を分子レベルで明らかにする研究を行った。明らかにした活性化機構を要約すると、IIaはドメインIと30Kのカルモジュリンドメイン(VI)との、IIbはドメインIIIとの相互作用で引かれているが、カルシウムがVIとIIIに結合するとIIaとIIbの位置が変わり、IIの構造は大きく変化する。さらにIIにカルシウムが結合して構造の微調整が起こると活性中心ができて活性を発現することが明らかになった。機能不明であったIIIはカルシウムとリン脂質・生体膜結合ドメインとして働き、Iはプロドメインであるがこれが自己消化で除かれることは活性化とは直接関係しないことを証明した。カルパインの活性化では、IIIが全く新しいカルシウム結合ドメイン部位として働くだけでなく、細胞内局在を決める重要な機能を持つ。また、IIにも未知のカルシウム結合部位の存在が予測された。最終的な活性化機構の解明に必要なカルシウム存在下でのカルパインの構造の解明を目指して引き続き研究を続けている。
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