研究概要 |
細胞内のバルクなタンパク質分解系であるオートファジーに関わるApgタンパク質の解析が進んだ結果、15個の遺伝子のうち半数以上がユビキチンに類似の結合系に関与している。Apg12はApg7,Apg10をそれぞれE1,E2酵素として最終的にApg5のリジン残基とイソペプチド結合を形成する。この反応はUb1と標識タンパク質が1:1対応をし、非可逆的である。またこの形成は飢餓によって変動せず構成的である。この結合体は更にApg16と結合して350kDの4セットからなる複合体を機能単位としてオートファ後ソーム形成に関わっている。Apg12の構造解析の結果、ユビキチンホールドにそのすべての機能があることが判った。 もう一つのUb1であるApg8/Aut7は合成後C-末端のアルギニン残基がApg4によって切断され、末端グリシンを露出する。このプロセスされたApg8はApg7によって活性化された後、Apg3に渡され最終的には膜リン脂質PE頭部とアミド結合を形成する。この反応は可逆的であり、サイクルすることがオートファジーの進行に必須である。Apg12の脂質化反応は精製したApg8,Apg7,Apg3とpEを含むリポソームのみでin vitro再構成が可能であることが判った。これら2つの結合反応系はE1酵素を共有してしているのみならず、相互に密接に関係している。Apg12系の欠損はApg8-PEレベルを劇的に減少させる。これらの系は空間的にも液胞近傍のオートファゴソーム形成に中心的に働くpreautophagosome structure(PAS)上に共局在している。これら2つの系は哺乳動物、高等植物にも保存されており、それらの解析も進んだ。
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