研究課題/領域番号 |
12308039
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
金子 武嗣 京都大学, 医学研究科, 教授 (90177519)
|
研究分担者 |
古田 貴寛 京都大学, 医学研究科, 助手 (60314184)
藤山 文乃 京都大学, 医学研究科, 助手 (20244022)
玉巻 伸章 京都大学, 医学研究科, 助教授 (20155253)
工藤 基 滋賀医科大学, 教授 (80108141)
|
キーワード | 中枢神経系 / 局所神経回路 / 投射ニューロン / インターニューロン / トランスジェニックマウス / ウィルスベクター / ゴルジ染色様標識 / 細胞内染色 |
研究概要 |
1.Vesicular glutamate transporter(VGluT)を認識する抗体を作成し、中枢神経系の局所神経回路の解析に応用した。VGluT1は主として大脳皮質の出力ニューロンが使用しており、VGluT2は視床のニューロンが用いているために、線条体・大脳皮質などの領域で、大脳皮質由来および視床由来の興奮性神経終末を区別して標識出来るようになった。これらの抗体を用いたpost-embedding免疫電顕法により、線条体の大脳皮質由来及び視床由来の興奮性神経終末にはAMPA受容体が発現していることを発見した。この結果はこれらの興奮性終末にポジティブフィードバック機構が存在し、線条体ニューロンのup stateを作り出すメカニズムとしてシナプス前性AMPA受容体が使われているのではないかと推測された。 2.今まで線条体のニューロンに今までわかっていた2種類以外に、preprpotachykinin B(PPTB)発現と特異的な無名質投射で特徴づけられる第3の投射系が存在することを明らかにしてきているが、腹側線条体にも同様な第3の投射系が存在するかどうか検索した。腹側線条体の側座核にはPPTB陽性のニューロンが存在し、少なくともその一部は投射ニューロンであることを明らかにした。一方、腹側線条体の嗅結節にはこうしたニューロンが存在せず、嗅結節がこの点で背側線条体・側座核とは異なる組織であることが明らかになった。 3.NK3 receptir(Neurokinin Bの受容体)を発現している無名質ニューロンについて、形態学的・電気生理学的に検討した。NK3発現無名質ニューロンのほとんどはGABA作動性ニューロンであり、大脳皮質へ投射していた。コリン作動性の無名質大脳皮質投射ニューロンと比べると、やや小型で、投射部位についてもコリン作動性ニューロンと違って、感覚系皮質よりは運動皮質により多く投射していた。大脳皮質へ投射するニューロンをホールセルクランプ法で調べたところ、その一部にNK3 agonistに反応するものがあり、膜抵抗が下がって膜電位が上昇する反応が認められた。したがって、NK3受容体はnon-selective cation channelを活性化しているのであろうと推測された。
|