研究課題
基盤研究(A)
東北日本は海溝・島弧・背弧海盆系を構成する古典的な沈み込み系を構成しており、沈み込みにまつわる地球科学的な諸問題の研究にとって格好の研究対象となっている。本研究では、深部地殻構造探査・岩石学・石油地質学的なデータを総合させ、北部本州中部の新生代における地殻変形とその改変過程についての研究を行った。特に、本研究費の主要部分を用いて秋田県由利丘陵を横断するバイブロサイス4台やダイナマイトを震源とする地殻構造探査を行い、既存の構造探査データと合わせ、釜石-本庄を通過する島弧断面を作成した。この統合断面からは、二つの新生代初期のリフト系が読み取れる。一つは大和海盆リフト系であり、日本海に向かって薄化する地殻と西傾斜の正断層を伴うドミノブロックの卓越した地殻構造によって特徴づけられる。その東側、現在の秋田-山形積成盆地にはもう一つの若いリフト系、北部本州リフト系が形成されている。このリフト系、中期中新世に大規模な玄武岩の噴出を伴って単純剪断型のリフトとして形成された。玄武岩の大量噴出によって示される地殻の高温化によって、地殻の脆性/延性境界が浅部におよび、上部地殻内に形成された低角度のデタッチメント断層をともなって、リフトが形成された。バランス断面法による東北日本リフト系の総伸張量は40km程度である。その後の水平短縮変形によって、この低角のデタッチメント断層は、逆断層として再活動している。奥羽脊梁山地は、上部地殻のポップアップ構造によって形成された隆起帯であるが、由利丘陵は中新世のリフト形成に伴うランプの再活動によって形成された隆起帯であると考えられる。
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