研究概要 |
1.バイオ・リガンドにおけるフェライト生成サイトの解明 バイオ高分子に直接フェライト超微粒子を(その合成反応中に)固定する方法を昨年度に開発した。今年度は、細胞破壊溶液中でフェライト超微粒子を固定し、バイオ高分子のマッピング解析を行った結果、S-H, C00H, OH基などがキレート基を構成している部位がフェライト生成のサイトになっていることを発見した。 2.IGG抗体へのフェライト固定 上記1のキレート基のうち、S-H基が最も強力なフェライト生成核になっていることを見出した。この知見に基づいて、IGG抗体について、そのS-S重鎖を特異部位としてフェライト超微粒子を固定する技術を開発した。 3.ハイパーサーミア用フェライト超微粒子の合成と特性評価 ハイパーサーミア用抗ガン磁性プローブとして、昨年度開発した室温の水溶液プロセスによって、Fe_30_4およびこれにZn, Co, Niを添加したスピネル型超微粒子(粒径8〜15nm)を作製した。120kHzの交番磁界による誘導加熱を行い、発熱効率が従来報告されている試料に比べ、約1.4倍ほど高いことを明らかにした。 4.フェライト超微粒子への蛍光物質固定 膜レセプタ認識抗体に、脂質の側鎖を介してマグネタイトフェライトめっきを行い、さらにめっき膜表面に有機蛍光物質を固定した蛍光プローブ開発のための基礎実験として、マグネタイト超微粒子の合成中にその表面に有機蛍光物質を固定する方法を探査した。その結果、蛍光分子FITCにアビジンを側鎖として付けることにより固定が可能となり、波長492nmの光で励起し、520nmの蛍光発光を観測することができた。
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