研究課題/領域番号 |
12309005
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊藤 嘉明 京都大学, ウイルス研究所, 教授 (80004612)
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研究分担者 |
深町 博史 東京大学, 理学系研究所, 助手
伊藤 公成 京都大学, ウイルス研究所, 助手 (00332726)
重定 勝哉 京都大学, ウイルス研究所, 助教授 (40009626)
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キーワード | RUNXl / RUNX2 / RUNX3 / アポトーシス / 自己複製能 / TGF-β / 腺胃細胞 / カスパーゼ |
研究概要 |
ショウジョウバエのrunt遺伝子の哺乳類ホモログは3種ありRunx1、Runx2、,Runx3と呼ぱれる。 Runx3の機能は従来殆ど未解明であったので、Runx3のノックアウトマウスを作製しその表現型の解析を行った。Runx3の発現は消化管上皮細胞で見られた。野性型マウスでは生後約1週間、胃内腔に面した腺上皮細胞に広範なアポトーシスがみられた。しかしRunx3-/-マウスではアポトーシスが全く観察されない。この上皮細胞のアポトーシスを更に解析するため、上皮細胞を単離しin vitroで培養した。培養細胞はRunx3+/+もRunx3-/-もTUNEL法で検出されるアポトーシスは見られない。しかしこの培養細胞をTGF-βで処理するとRunx3+/+の場合はTUNEL陽性細胞が出現するのにRunx3-/-の場合は全く出現しなかった。従ってin vivoでもTGF-βがアポトーシスを誘導していることが示唆された。 B6系統と異なり、ICRマウスのRunx3を破壊すると、仔の約30%は数ヶ月生存できるようになる。このようなマウスには重篤な神経症状が見られる。TrkCを発現する後根神経節細胞からの神経線維は脊髄内で前角の運動神経核にシナプスを作りstretch reflex circuitを形成するRunx3-/-ではこの回路が形成されないことが判明した。予備的結果によるとaxon guidanceの異常が示唆され、Runx3の新しい、しかも重要な機能が明らかになりつつある。
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