研究課題/領域番号 |
12309006
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
竹平 勝臣 広島大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70294535)
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研究分担者 |
浜川 聡 産業技術総合研究所, 物質プロセス研究部門, 主任研究官
早川 孝 産業技術総合研究所, 物質プロセス研究部門, 主任研究官
宍戸 哲也 広島大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80294536)
梶岡 秀 広島県立西部工業技術センター, 材料技術部, 部長(研究職)
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キーワード | 固体電解質 / 酸素格子欠陥 / メンブレンリアクター / 格子酸素 / 炭化水素部分参加 / 反応性スパッタリング |
研究概要 |
Au|YSZ|AgセルのAu電極上にMoO_3,V_2O_5およぴMoO_3-V_2O_5複合酸化物触媒膜を反応性スパッタリングにより積層させた。陽極室と陰極室とを隔離し、両極を外部回路で結んで電気化学反応器を構成し、陽極室には炭化水素ガスを、陰極室には酸素を流通させ、外部回路に電位を掛けて陰極からYSZを透過させて陽極側に解離酸素、即ち原子状酸素を供給しながら、陽極上に積層した触媒上で、アルケンおよびアルカンの酸化反応を行い、それらの触媒特性を明らかにすることを試みた。MoO_3上ではアルカンの酸化は起らないが、アルケンから対応するアルデヒドヘの部分酸化反応で高い選択性が得られ、格子酸素利用型反応器による酸化反応の有利さを強く支持する結果が得られた。V_2O_5上ではアルカンの酸化が認められ、ラジカル型の活性種が生成してアルカンの最も弱いC-H結合がホモリティックに切れて反応が開始されることが分かった。Vターゲット上に複数のMoチップを重ねて同時に反応性スパッタリングを行うことにより組成を制御して複合酸化物膜を作成することができた。アニーリング後の触媒膜では、V/(Mo+V)=14.5〜77.9の範囲の組成でMoV_2O_8に帰属される回折ピークが現れた。MoV_2O_8はその[001]面と[110]面とでは組成に対して異なったピーク強度依存性を示した。MoO_3-V_O_5複合酸化物を触媒膜とする酸化反応では、MoO_3あるいはV_2O_5単独の場合よりも活性は大幅に向上した。エタン、エチレンの酸化反応では、選択性良く脱水素反応が進行した。このときMoV_2O_8相の結晶成長方位と酸化活性との間に相関が認められ、既に見い出しているMoO_3/Au|YSZ|Ag系上でのプロペンの酸化反応において認められた結晶成長方位への依存性とも関連して興味がもたれる。
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