研究課題
本研究は、大きく(1)分担者全員が担当する研究、(2)分担者がグループに分かれて行う研究、(3)分担者個人の研究の三つのレベルに分かれている。(1)のレベルでは、「薩摩藩および島津氏に関する研究文献目録」(仮題)の作成を、大学院生・学部学生の応援を得て推し進めた。本年度は既存の文献目録および各分野の文献のデータをコンピュータに入力した後、実物に当たって校正を行うという段階まで終えることができたが、来年度はこれをもとにデータを追加し、分類作業を行う予定である。(2)のレベルでは、文書研究班、書籍研究班、文物研究班に分かれ、鹿児島大学玉里文庫の書誌調査や、東京大学史料編纂所所蔵の文書調査、鹿児島県内各地に残されている絵画調査などを精力的に行った。中でも書籍研究班は、玉里文庫の名所図会および『薩藩名勝志』『三国名勝図会』の成立過程についての調査研究し、その成果を図録として発表、県内外の識者からは一定の評価を受けた。また、原口と下原が関わった「琉球嶋眞景」(名瀬市博物館蔵、近世の奄美大島を描いたものとして貴重)の調査は、作成の経緯や中央画壇との結びつきなどの解明が待たれるとともに今後大きな成果が期待されるものとなっている。最後に(3)の個人のレベルでは、和歌・漢詩文についての研究、薩摩藩の出版物についての研究、島津家と他の大名の蔵書の比較研究、薩摩・大隈国一宮の研究、薩摩の絵師の研究と絵画資料のデータベース化、近衛家と島津家との関係史の研究、薩摩の洋学および近代化に関する研究、薩摩の博物学的研究、薩摩の地理学的研究など、各分担者がそれぞれのテーマに従って、資料収集と調査検討を行った。その成果の一部は本年度中に発表したが、来年度の成果の発表に向けて十分に準備が整ったといえる。
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