研究概要 |
測定法が未開発の核ガンマ線イメージング法の原理の確立、および実際の装置を開発する。 ●反跳電子測定用MPGCの開発 13年度製作の11cm角MPGCの評価に基づき、絶縁体としてポリイミドを採用し、放電発生率が低いタイプのMPGCを試作した。このMPGCは最高利得15000、さらに利得5000で二カ月程度の連続動作に成功し、一様性も±30%程度を達成した。このMPGCを用いて、X線画像試験および、KEKでの陽子ビーム試験を行ないMPGCのX線および荷電粒子検出器としての性能評価を行なった。これらからX線、中性子線に必要な利得3000で安定動作が達成した。Minimum Ionizing Particle(MIP)にたいしては、数倍の利得の改善が必要である。3次元電場シミュレーションを導入し、完全な電場計算を行ない、現在のピクセルでは3割程度しか電子が収拾出来ないことが判明した。そのため新しいピクセル構造のMPGCを製作。2倍の利得向上と一様性の改善が期待される。また、アンプICの積分時定数をMPGCのイオン収拾時間80nsに合わせたICを製作した。この改良で利得の倍増し、MPGCの改良を併せてMIPの検出を可能とする。 ●シンチレータ反跳ガンマ線検出器の開発 昨年製作した10cm角NaIのPMTアレイの本数を25本に増やし組み合わせたアンガカメラを製作。エネルギー分解能、位置分解能の評価試験を行ない、半値幅で各々10%,4mm(500keV)の性能を得た。さらにピクセルシンチレータに対応するため400個の5mm角フォトダイオード400個を合わせたアレイおよび、5m角ピクセルCsIの10cm角アレイを製作した。またその読みだし回路として32chVAチップの読みだしシステムを構築し、数千チャンネルのピクセルシンチレータに対応出来る回路システムの開発を行なった。 ●ガンマ線到来方向決定実験 MPGCおよびアンガカメラを組み合わせてコンプトンカメラを製作、300、600keVの核ガンマ線を用いてイメージングの試験を行なった。まだMPGCの利得が十分でなく、電子の角度分解能が悪いため、角度分解能30度程度であるが、確かに各ガンマ線に関して独立に方向を決定出来た。さらにバックグランドガンマ線も運動学的にほぼ除去でき広い範囲でガンマ線源の移動を直接捉えることが出来た。世界初の完全な核ガンマ線イメージングを実証できた。
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