研究課題/領域番号 |
12354005
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
増田 俊明 静岡大学, 理学部, 教授 (30126164)
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研究分担者 |
吉田 勇作 (株)アカシ, 相模工場・技術部・STグループ, 研究員
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キーワード | 新装置開発 / 超微小硬度計 / 原子間力顕微鏡 / 固体表面 / 力学計測 / ビッカース硬度 / 圧痕 / 防震システム |
研究概要 |
本年度は、原子間力顕微鏡と超微小硬度計を一体化した新装置の試作を行った。それとともに、この装置を使用するときに問題になるであろう点を、既存の超微小硬度計と原子間力顕微鏡を使用しながら検討した。 新装置の技術的な点で特に重要と考えられる点が二つ浮かび上がってきた。一つは優秀な防震システムを備えられるのかどうか、という点、もう一つは圧痕の深さの測定精度である。優秀な防震システムの必要性は、圧子に加わる荷重が1グラム重以下になったときに顕著に現れる。荷重-深さ曲線がノイズで正確に読みとれなくなるのである。これは、現在の超微小硬度計の防震システムが優秀でない結果起こると考えられる。すなわち、建物はいつでも少しは揺れているということが障害になっている。例えばエレベータや、屋上の給水タンクのモーター、誰かが歩く振動等は確実に影響している。場合によっては東名高速道路を走るトラックの影響などもあると想像される。軽い荷重でテストを行う必要性はますます大きくなってきた。軽い荷重の方が高い圧力状態を実現できることがわかったからである。 圧痕の深さの読みとりの問題も重要である。一つの圧痕に対して、別々に超微小硬度計で測定した深さと、原子間力顕微鏡で測定した深さが異なることが一般的であることがわかった。これは、両方の装置を一体化したときには重要な問題になってくるはずである。すなわち、どちらの装置の深さの値を信用するのかと言うことである。この問題に関しては、測定方法・技術の改良を要することなので、単なる装置の利用者としての大学研究者では対応できない。装置改良を担当するアカシ(株)の技術陣が検討している最中である。この部分の問題が解決されれば、新装置の威力は相当なものとなり、理想的な固体表面力学試験装置となるはずである。
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