超微小硬度計を用いて鉱物表面の力学的性質を調べた。 押し込み変位を正確に測定するために、超鋼合金を試料とし、圧子には平坦ダイヤモンドを使用して荷重-変位曲線を作成した。そして、ダイヤモンドと超鋼合金が変形をしないと仮定して、すべての変位を超微小硬度計の装置本体が弾性変形していると考えると、従来の測定で得られる荷重-変位曲線の意味がより正確に把握できるようになった。すなわち、従来の測定では試料の変形だけでなく超微小硬度計の装置本体の変形も加算されていたことになる。今後は対象試料の正確な押し込み深さが読みとれることになる。 定荷重保持状態でバーコビッチ圧子を石英試料に押しつけてその押し込み深さの変位を調べることで、石英のレオロジーのパラメータが測定できることがわかった。実際に行ってみた結果、応力べき指数は100を超えることがわかった。通常の変形実験では応力べき指数は4〜5程度の値を採ることが知られているので、この100以上という値をどのようにとらえればいいのか検討中である。 ヤング率の圧力依存性について検討を行っている。圧力が高くなるとヤング率は一定の割合で高くなることがわかった。かかった圧力の最高の値は約200ギガパスカルである。通常のヤング率の実験ではこの圧力は出せないので、超微小硬度計を利用したヤング率測定は、新しい高圧力学物性に関する情報を獲得する手段として利用できることがわかった。 ノルウェーのビグディン礫岩について、石英粒子にあけた圧痕の大きさについて検討を行い、大きく歪んでいる試料の方があまり歪んでいない試料よりも圧痕の大きさが小さいことがわかった。
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