研究分担者 |
錦織 紳一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (70134400)
下井 守 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (30092240)
小島 憲道 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (60149656)
城 始勇 理学電機(株), X線研究所, 主任研究員
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研究概要 |
本研究計画では,金属錯体等分子性化合物の高圧力下単結晶X線回折測定に適した,2次元検出器型高圧専用単結晶X線回折装置を試作することを目的としている. 本研究計画立案の背景として,以下の点が指摘される.金属錯体の物質開発において,高圧力は,金属原子と配位原子間の配位結合の距離を短縮し,配位子場を変化させ配位多面体・金属錯体分子の電子構造を大きく変化させる等,大きな摂動場として作用することが期待される.近年,物質開発において,高圧力を用いた物性研究が増加してきた.その解釈には,高圧力下での結晶構造が不可欠である.しかし,金属錯体のような複雑な分子構造とパッキングを持つ物質では,粉末回折から結晶構造を得ることが困難であり,高圧力下での結晶構造の解明はわずかである. 実施内容は,購入した市販の単結晶X線回折装置を,高圧用にハード,ソフト両面で改造し,試作機を製作すること,高圧測定に必要な周辺機器・器具の整備である. 本年度において以下のことを実施した. (1)イメージングプレート型X線回折計のゴニオメーターヘッド部における高圧用改造の不具合について,その原因を解明し取付け冶具を改良した. (2)ダイヤモンド・アンビル・セルの単結晶X線回折用に適すように改良した.ダイヤモンド・アンビル・セルを装着した回折計の動作確認を行った.その際,不具合のあったゴニオメーターの改修を行った.また,回折データのSN比を向上を目的に,信号のバックグラウンドを下げる新しい測定制御プログラム(ファインスライシング法)を導入した.試験試料を用いて通常法との比較測定実験,構造解析,評価を行った.その結果この新測定手法が有効であることを明らかにした. (3)高圧下で興味のある構造・物性変化を示す金属錯体ならびに包接体について合成,単結晶化を行った.対照実験として大気圧下での回折データ測定を行い,構造解析によりその結晶構造を明らかにした.
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