研究課題/領域番号 |
12355003
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
表面界面物性
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
長谷川 修司 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (00228446)
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研究分担者 |
細木 茂行 株式会社日立製作所, 中央研究所, 主管研究員
松田 巌 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (00343103)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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キーワード | 擬1次元系 / 4探針プローブ / カーボンナノチューブ / 走査電子顕微鏡 / 表面電気伝導 / シリコン / 表面超構造 / 表面電子バンド |
研究概要 |
(1)超高真空槽内で、走査電子顕微鏡で観察しながら4探針を独立駆動できる4探針走査トンネル顕微鏡を製作・完成させた。トンネル電流をモニターしながら4探針を同時に自動接近させてトンネル接触状態にすることが可能となった。これにより、表面原子配列を破壊することなく探針を試料表面に接触させて電気伝導を測定することができる。また、単原子高さのステップを明瞭に走査トンネル顕微鏡像中で観察できるようになった。それを用いて、4端子プローブ法による表面電気伝導の測定を行った。 (2)ローブ間隔依存性:4探針プローブの間隔を1mmから1μmまで変化させながら、Si(111)-7×7清浄表面とSi(111)-√3×√3-Ag表面について室温で電気抵抗を測定した。その結果、(a)プローブ間隔を短くすると、表面に対する感度が飛躍的に向上する。(b)7×7表面の場合、電気伝導は結晶内部までが関与する3次元的な性格を持つのに対し、√3×√3-Ag表面では、表面近傍だけの2次元的な性格を持つ。これは表面状態を通る伝導であることが定量的な解析から判明した。 (3)正方4端子プローブ法:4探針を正方形状に配置して試料表面上に接触させて伝導度を測定する「正方4端子法」を考案し、実際にSi(111)-4x1-In表面に適応した。この方法は、従来の「線形4端子法」と異なり、伝導度の異方性を測定することができる。実験の結果、4x1-In表面は、インジウム原子鎖に平行方向の伝導度(σ_<//>)がそれに直角方向の伝導度(σ_⊥)より70倍高いことが明らかとなった。バンド構造から計算される伝導によると、σ_<//>は1次元的な表面電子バンドにより、σ_⊥は下地基板の表面空間電荷層による伝導でほぼ説明できることがわかった。つまり、この表面状態は電気伝導の観点からも極めて1次元性が強い擬1次元電子系といえる。 (4)多層カーボンナノチューブ(MWCNT)1本を2探針で拾い上げて固定することにより、その伝導度を2探針法によって測定可能となった。
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